第348話「石の上にも3年」は本当か?

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東京には有名な演芸場があります。浅草演芸場、新宿末廣亭、上野鈴本演芸場、池袋演芸場です。もちろん、ほかにも有名な演芸場はありますが、この四つが代表格でしょう。
落語、漫才、奇術、紙切り、太神楽などが、入れ代わり立ち代わり演者によって演じられます。落語ですと、前座から始まって若手真打、ベテラン真打と続き、その高座は我々を十分に楽しませてくれます。
最近聴いた中では、三遊亭圓歌、林家木久扇が圧倒的に面白く、笑い転げること必至です。また「うまいなあ~」と唸らせるのは、瀧川鯉昇、柳亭市馬、柳亭こみちでしょう。
もちろん、ほかにも一流の噺家はいます。古今亭文菊、古今亭菊之丞もおすすめです。-ここでは、あくまでも最近聴いた落語の中で、特によかった噺家を紹介しています。皆さんもきっと、お気に入りの噺家がいるでしょう-
さて、彼らが噺を始めるにあたって、まず「枕」を話します。枕というのは文章でいうリード文のことです。お客様を少しなじませておいて、本題に入るというわけです。
枕で語られるのは、世間話とか最近の出来事とかですが、自分の芸歴を話す人もいます。「○○に入門して10年。いまだに修行の身です」などと語ります。10年たってもまだ修行しているのですから、芸の道を究めるのは大変です。噺家の世界では、10年辛抱しないと一流になれないのかもしれません。
事実、前座から始まって二ツ目、そして真打に昇進するには10年から15年が必要と言われています。真打に昇進して売れっ子になるためには、そこからが本当の修行でしょうから、なんとも厳しい世界です。
物事に取り組むときに「石の上にも3年」と言われます。辛抱強く努力を続ければ、やがて成果が得られるという意味で使われます。しかし、もう少し正確に言えば「石の上にも最低3年」です。最低でも3年間辛抱できなければ成功は望めません。これはビジネスでも、なんでも同じです。
特にビジネスの場合、新規で事業を始めても、なかなか結果が出ないことがあります。その間、赤字垂れ流しで、ほかの役員や社員からも不安の声が聞こえてきます。
「ショールームを作って、うちの製品を多くの人に見てもらいたい、技術力をアピールしたい、売り上げを伸ばしたい」と思ったとしても、そう簡単にうまくいくものではありません。
一般的に、ショールームには大きなコストがかかります。ショールームを作る費用、そして運営する費用です。これらを賄って利益を出していくには、それ相応の売り上げが必要です。
ところが、オープンして2年たっても3年たってもパッとしないショールームもあります。そうすると、社員からは「ウチ、ショールームあるけど、なくてもいいんじゃない? 無駄だよな」などと陰口をたたかれるようになります。
そして、ショールーム運営の固定費がだんだん重くなり、ついには「もうやめよう」ということになりかねません。そういうショールームを、いやというほど見てきました。
しかも、ことを複雑にしているのは「3年我慢しても成功するとは限らない」という、ビジネスの冷徹な事実です。最低でも3年我慢すれば、ある程度の成功が見込めるのであれば我慢のしようもあります。ところが、そうではないことが多いのです。
先ほどの噺家でいえば、10年とか15年修行をすれば、真打に昇進できるのであれば我慢のしようもあります(落語の世界は基本的に年功序列です)。
しかしビジネスでは、いつ成功するか分かりません。成功しないかもしれません。そこにどんどんお金をつぎ込むのでは、周りの役員からも社員からも飽きられて当然です。そうならないためには、どうすべきか?
ショールームにお金をかけないことです。
ショールームを作ろうとすると、どうしてもお金をかけたくなります。ショールームとは、そういうものだと思い込んでいるからです。または憧れとか妄想を抱いているからです。そうではなく、見込客開拓から契約までの「導線」にお金をかけるべきです。導線をしっかり作るべきです。
ショールームはただの「箱」です。箱がお金を生むことはありません。多くの経営者の方は、ここを勘違いしているのです。せっかく作ったショールームを「もったいないショールーム」にしないためにも、導線作りを考えてください。
そうすれば、断言はできませんが、石の上にも最低3年で、収益の柱となる事業に育てることができます。ショールーム自体よりも、導線の方が大切だということです。簡素であっても、その使い方次第で、お金を生むショールームにすることは可能です。
あなたは導線作りができていますか? 最低3年やり続けることができますか?



