第352話 ショールームの展示は引き算である

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「先生、ショールームに何を展示しようか迷っていまして…」
これは最近コンサルティングをお申し込みになった、食品関係の卸売りを本業とする中小企業の社長です。
卸売会社ですから仕入れ先は多岐にわたり、取扱商品の種類も膨大なものになります。社長曰く「数えるだけ無駄」なため、正確なアイテム数はつかめていません。なんとなく数万とか数十万規模くらいにしか思っていません。
その中でもメインの仕入れ先はあります。全体の2割の仕入れ先で、売り上げの8割を占めているのも事実です。いわゆるパレートの法則というやつです。
昔の卸売会社というと、小売店の要望に応えて品ぞろえを充実させる、迅速な配送を心掛ける、安定的に供給するといった基本機能が主に求められていました。
しかし昨今では、そのような機能だけでは小売店から選ばれなくなっています。金融機能、提案機能、問題解決機能、コンサルティング機能などが求められています。特に、商品に付加価値をつけるためのコンサルティング機能は重要です。
中小小売店に対して陳列方法、価格のつけ方、客動線、従業員動線などを指導します。小売店からは卸売りの基本機能だけでなく、こういったコンサルティング機能を求められているのです。また、その機能を提供する卸が生き残っていくのです。
-ここで、コンサルティングについて私見を述べます。コンサルティングとは、ただ単に知識やノウハウを教えるだけのものではなく、その知識やノウハウを使ってクライアントの売り上げを伸ばし、利益を増大させる戦略を策定することを言います。そしてクライアントに寄り添い、伴走する人をコンサルタントと呼びます。世の中にはコンサルタントと呼ばれる人は星の数ほどいますが、その多くは調査、分析、計算、マニュアル作成、報告を行うことを目的としています。したがって、本来のコンサルティングとは全く仕事の性質が異なっています-
事実、コンサルティング実務を勉強している企業経営者の方を何人か知っています。彼らは自社のクライアントだけでなく、自社に対してもコンサルティングをしているのです。
さて、冒頭の会社はショールームをお持ちです。少し古くなったのと、気分一新を兼ねてショールームをリフォームをしました。そこで新しく展示品を決めようとして、何かいいアイデアはないものかと悩んでいました。
セミナー、個別相談を通じて少しアドバイスをしたところ「是非に」ということでコンサルティングをお受けしたのですが、いきなり「先生、何を展示したらいいですか?」という直球の質問。
「まあ、社長ちょっと待って。そう慌てないでください」となだめて、コンサルティングに取り掛かりました。
実際のコンサルティングでは、第一回目が非常に重要で難しいと、皆さん口にされます。ここで方向性を間違えるとボタンの掛け違いになってしまうので、こちらも慎重にコンサルティングします。
ある程度方向性が決まると、次に具体的な戦略・戦術に移るのですが、ここでショールームの展示について考え方を説明します。
展示品について、多くの方は「何を展示しよう?」と考えるのですが、当社は「何を展示しないか」を考えることだとご指導しています。
クライアントの社長は卸売会社ですので、取り扱いアイテムが数万~数十万点あります。その中から展示品を選ぶということになれば、時間も労力もかかってしまいます。
そうではなく「何を展示しないか」で選ぶべきです。展示しないもの(ルールとか判断基準)をまず決めて、それに沿って削除していく。そして、勝ち残ったごく一部のアイテムを吟味して展示品の候補とする。
この先の判断は、社長の独自の判断でも間違いではありませんが、できたら自社のキラーコンテンツに合わせるといいでしょう(自社のキラーコンテンツ作りについて詳細は割愛しますが、自社の強みを発展させたものとお考え下さい)。
「何を展示するか」は足し算の展示であり、「何を展示しないか」は引き算の展示です。足し算の展示であれば、あれもこれもとなって、ショールームコンセプトと合わなくなる可能性大です。
その点、引き算の展示は楽です。何せ、物を捨てる感覚なのですから。皆さんも経験があるでしょう? いらないものを捨てて、さっぱりするあの感覚。それに似ています。
もちろん、引き算の展示が優れているという理屈はあるのですが、ここでは長くなるため、またの機会に譲ります(セミナーではお話ししています)。
ショールームの展示は引き算で考えてください。その方が成果は出やすいです。どのみち、あなたの製品をすべて展示することはできないのですよ。
あなたは、まだ何を展示しようか悩んでいませんか?



