第347話 社員とチラシは使いよう



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「先生、給湯器って有難いものですね。今回、改めてそう感じました」

 これは個別相談をご依頼になった社長が漏らした言葉です。何の話かというと、この社長の自宅の給湯器が故障してしまい、お湯を沸かすことができず、お風呂に入れなかったという話です。

 給湯器は普段、何気なく使っていますが、故障して使えなくなると、その重要性とか有難さに気が付きます。いつでも温かいお湯が蛇口から出てくるのですから、生活になくてはならない設備です。

 真冬に給湯機が故障したときのことを想像してみてください。ぞっとしますよね。応急的に家庭用のコンロでお湯を沸かしたとしても、とてもお風呂のお湯を張れるような能力はありません。

 それが真冬でも一瞬でお風呂のお湯を沸かしてしまうのですから、大した能力です。生活の必需品だということがよく分かります。

 給湯器は一般的に10年が寿命だと言われています。もちろん15年くらい使えることもありますが、10年を超えると故障の確率が高まります。故障するときは突然で、予知することが困難です。

 定期的に点検をしていれば安全に長く使えることもありますが、一般家庭では放ったらかしが普通です。したがって、故障して初めてその有難さに気が付くわけです。

 さて、当社のクライアントに、給湯器の故障を事前に察知し、お客様から感謝されている水道工事店がありますのでご紹介します。

 この会社は企業規模が小さく、そのため地域のお客様を守りながらビジネスを続けています。痒い所に手が届く会社と言ってもいいでしょう。

 この会社は以前、ショールームを所有していました。事務所の横に小さなショールームを作ったのです。

 しかし、思ったほど活用できず「もったいないショールーム」となっていました。そこで思い切って廃止し、メーカーのショールームを借りてイベントを開催するスタイルに変更しました。

 集客の方法は、以前はチラシを大量に撒いて「来場者には記念品を差し上げます」「契約者には豪華景品を差し上げます」といったスタイルでした。しかしコストがかかりすぎることと、その割には集客も契約もできないことが分かり、方向転換をしました。その方法は「景品ではなく価値をご提供します」というもの。

 お客様にとって本当の価値とは、給湯器が長く安全に使えることです。ただ単に安くて景品がもらえることではありません。長く安全に使うことができれば、トータルコストは安くなります。急に故障して「困った!」ということにはなりません。

 もし故障してしまっても、すぐに対応してもらえば「お風呂に入れない!」という状態も短くてすむでしょう。そのための定期点検や準備に余念がありません。

 給湯器は、大型連休や盆正月などの、ビジネスが動いていない時に故障するものです(本当です)。夏の暑い時期ならまだしも、年末年始の休み中に故障しようものなら、事態は最悪です。家族は険悪な雰囲気になること必至です。

 この会社は、この様な内容のチラシを地域の個別のお客様ごとに作成します。お客様が何に困っているのか、何を望んでいるのかが理解できていなければ作れないチラシです。

 また、職人さんが営業の役割をしていることも見逃せません。営業専門職の方はいますが「全員営業」を標榜しており、施工技術だけでなく、営業にも力を入れています。

 職人さんは口下手な人が多いため、社長はこう考えました。

「口が下手なら、その分チラシに語らせよう」

 これが見事にはまり、年々売り上げを伸ばしています。

 成功の要因は、欠点を治すのではなく、欠点を補う仕組みを作ることにあります。具体的には、職人さんの口下手を治す訓練をするのではなく、口下手を補完するチラシを作ることです。

 そして最も大切なのは、お客様の立場に立って考えること、お客様にとっての価値とは何かを考えて、それを提供することです。

 よく言われる適材適所とか増員とかは、大企業の論理であり、中小企業には人もお金も潤沢にはないのです。それであれば、人がいなくても、お金がなくても儲ける仕組みを考えねばなりません。それが社長の役割です。

 いかがですか。景品や見かけの安値で集客し、行き当たりばったりのビジネスをやっていませんか? そうではなく、お客様に価値を認めてもらい、適正な価格でビジネスを行うべきです。

 どうすればお客様に認めてもらえるのかを考え、その仕組みを作ることが大切です。社員とチラシは使いようです。

 

 


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