第142話 新しくオープンしたガスショップのショールーム、今後が心配

 ある地方都市の駅前マンションビルの1階店舗に、都市ガス系ショップの水回りショールームがオープンしました。駅前の新築高層マンションの1階店舗という立地から、決して安い家賃ではないと思われます。

 当社の友人がこの街に住んでおり、時折、情報を入れてくれます。それによると、オープン1週間前には新聞折り込みチラシを入れたようです。店舗玄関にはランの鉢植えが飾ってあり、いかにもオープンしたての雰囲気があります。

 こじんまりとはしていますが、さすがに新築マンションの店舗ですので、清潔感があふれていてとても感じがいいそうです。しかし、いつ見てもお客様が入っているようには見えないというのです。

 まだオープンしたてのショールームに、そんなにケチを付けなくてもと思われるでしょうが、実は、その数か月前には別の都市ガス系ショップの水回りショールームがこの街から撤退したばかりなのです。

 撤退した理由は分かりません。分かりませんが、多分、見合った売り上げが立たなかったという推測はできます。立地の条件は多少異なっていますが、両社の距離はそれほど離れていません。

 一般的に、ガスショップがショールームを構えても成功しません。ここでの成功というのは、「見込み客をショールームに誘引し、水回りのリフォーム工事を成約できていて、それで儲かっている」という状態を言います。

 ガスショップは本業がガス工事です。そして、都市ガス会社のブランドを利用してリフォームを受注する会社はたくさんあります。

 ところが、そのような会社はショールームを持っていてもほとんど活用されていません。なぜかというと、活用する必要がないからです。活用しなくても本業のガス工事で儲かっているし、都市ガス会社のブランドでリフォーム工事はある程度受注できているからです。

 それではなぜ、わざわざショールームを作るのでしょう?「ショールームがないと恰好が付かない」からです。

ここにショールームで失敗する原因があります。「同業他社からの視線や世間の目を気にして無理に作る」「そういうものだと慣習で作る」「経営者の憧れで作る」。これでは活用できるはずもありません。

「ショールームを活用できなくてもいい」「そのコストは本業で儲ける」「持っていることがステイタスだ」

 こういう考えなら、それはそれでかまいません。誰も文句を言う筋合いではありません。しかし、ショールームを使って売り上げを上げたい、儲けたいとお考えの経営者の方は、安易にショールームを作らないほうがいいです。ショールームだけあっても、売り上げにも利益にもなりません。逆に、重荷になって利益を削ってしまうこともあり得ます。

 ショールームで儲けるためには導線設計が必要です。儲けるしくみと言ってもいいでしょう。この導線なしにショールームを作るものですから失敗するのです。

 何度も申し上げますが、ショールームだけあっても売り上げも利益も上がりません。もっと儲けたいという経営者の方は、ショールームを中心とした、見込み客開拓から成約までの導線設計を行ってください。導線設計には1年程度かかりますが、結果は必ず出ます。

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