第141話 簡単なことができていないB社担当重役の言い分 

 コンサルタントを職業にしていると、様々な会社の経営者の方とお会いします。当社の場合、お客様となるのが売上高でいえば10億円から50億円くらいの企業が多く、中小企業とはいえソコソコの会社の社長とお付き合いしています。中には、売上高数百億円規模の会社もあり、中小企業とはとても言えない社長とのお付き合いもあります。

 このような会社になると、コンサルティングには社長ではなく担当部署の重役が出席される場合があります。売上高数百億の会社の重役ですから、それはいいのですが理屈っぽくて困ります。

 ある製造業のB社にコンサルティングに伺った時のことです。売上高数百億円規模の会社ですから、案の定、ショールーム担当重役がコンサルティングに参加してきました。

 製造業ですから自社のショールームを持っていますが、なかなか集客できません。それなりに売り上げは上がっているのですが、全国区の企業として成長したいという願望があり、当社にコンサルティングを依頼してきたというわけです。

「細井先生、それは分かっています」
「そういうことではなくて、ショールームをもっと機能的にする方法を聞きたいのです」
「先生のおっしゃることは、マーケティングを勉強した人ならだれでも知っていますよ!」

 この担当重役はこう来ました。

 普段、お客様に面と向かって反論するようなことはありませんが、さすがにこの時は少々語気を強くして「分かっているならサッサとやってください!」「できていないから当社にコンサルティングを依頼したんでしょ?」とやりました。

 経営者にもいろいろタイプはありますが、高学歴のサラリーマン経営者の方にこのようなタイプの方が多いように思えます。要は、理屈をこねてなかなかやらないタイプです。

 このような方は、コンサルティングをビジネススクールと勘違いしています。また、コンサルタントを自分たちの下請けだと勘違いしています。残念ながら、ダイナミックコンサルタントはビジネススクールの講師でもなく、お客さまの下請けでもありません。

 自分の経験や知識を体系化し、独自の手法でお客様にしくみを導入する実務コンサルタントです。したがって、学校で習うような知識を教えたり、何かを請け負うようなことは一切ありません。

 分かりやすく例えて言うならば、「お客様が釣りたい魚の釣り方を教えるが、実際に魚を釣るのはお客様」ということです。

 この辺りのことは、口が酸っぱくなるほどコンサルティングに入る前に申し上げるのですが、しばらくすると「知識を教えろ」とか、「先生がやってくれるものと思っていた」などと言い訳する方が出てきます。

 当社は、いったんコンサルティングの委任契約をした以上、あきらめるとか投げ出すことはしません。また、ぐずぐず長引かせることもしません。パッケージになったプログラムが終了すれば契約も終了です。しかし、コンサルティングが前に進まないのが困ります。

 当社は、釣りたい魚をお客様ご自身で釣れるようにご指導しています。「釣りの師匠がいなくなったら、途端に魚が釣れなくなった」では困ります。したがって、むずかしい経営理論や聞きなれないマーケティング用語は横に置いておいて、お客様に分かりやすくコンサルティングを行います。

 前出の担当重役には「知っていることと実際にやれることは全く違う」ということを理解していただきました。

 当社のコンサルティングの特徴は、経営の知識を教えるのではなく、実際にやれるようにご指導することです。簡単なことでも組織の中では、なかなかできないことが多いです。それは部署間の引っ張り合いや牽制があるからです。そこへ外部のコンサルタントが入ることによって、一気に解決へと向かうことがよくあります。

 コンサルタントを利用する価値はここにあります。

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