第365話 目指せ!年商100億企業



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 最近、年商100億円を目指す企業が増えています。その背景には経済産業省が主導する「100億宣言」制度があります。宣言をした企業には補助金や税の優遇措置が受けられます。

 もちろん宣言しただけではダメで、定める条件を達成しなければなりませんし、そもそも採択倍率は高倍率です(ここでは採択に関する条件や要件は省きます)。

 経済産業省が100億宣言で何を狙っているのかというと、年商100億から1000億円企業、いわゆる中堅企業を育てるという目的です。中堅企業が育つことで、経済波及効果が見込めるからです。

 問題は、本当に100億企業が育つかということです。言い換えれば、100億企業をどのように育てるかが課題だということになります。

 例えば、年商50億の企業が、3年後に100億企業に成長するには、どうすればいいかということです。計算してみると、毎年25%以上の成長をしなければ100億に届きません。毎年10%成長の場合なら7年以上かかります。現在インフレだとは言いながら、3年間毎年25%成長とか、10%成長を7年続けるというのは簡単ではありません。これがどんなに難しいことか、皆さんならお分かりですね。

 それでは、どうやって100億という目標を達成するのか? 今現在のビジネスの延長では難しいのは分かります。そうであれば、M&Aで企業を買収するか、他社から事業を譲渡してもらうという選択になります。もしくは、現在のビジネスを残しつつ、新しいビジネスを立ち上げることになります。

 近年では、後継者のいない中小オーナー企業が、企業丸ごと売りたいというニーズがありますので、お金を出せば買うこともできるでしょう。

 しかし、一般的にM&Aは成功率がそれほど高くないといわれています。何をもって成功といえるかは別として、大まかに言えば成功率は40%です。

 企業を買ったのはいいが、社員と社員が持っているノウハウが流失してしまって、買ったのは建物と設備だけだったという、笑うに笑えない実例もあります。

当社は、前職時代にM&Aを主導した経験がありますが「お金で会社は買えても、人の心までは買えない」という、なんとも言えないM&Aの難しさを体験しています。

 新しいビジネスを社内で立ち上げるという選択は、ただ単にプロジェクトチームを作っただけではうまくいきません。部門横断型のチーム作りが必要ですが、責任の所在があいまいになる可能性があります。

 前職でプロジェクトチームを率いる経験もしていますが、忖度、遠慮、妬み、支配欲が複雑に絡み合い、思ったような成果を出せなかった苦い思い出があります。いずれも力不足だといえばそれまでですが、理屈通りにはいかず、案外難しいものです。

 以上は当社の経験ですが、多くの経営者の方が同じ悩みを抱えているはずです。売り上げを上げたいと願うばかりに、無理に会社を膨張させてしまう。このようなことが日常茶飯事に行われています。本来であれば、会社を「成長」、ですが「膨張」させてしまうのです。

 会社の成長とは、社員の成長であり、社員のフェーズを上げることです(フェーズとは、物事の進行過程における「段階」といった意味です)。一歩一歩階段を上るように育つことが肝要です。

 一方、膨張とは、社員にノルマを課し、ハッパをかけ、馬車馬のように尻をたたいて働かせた結果、上げた売り上げのことです。

 成長によって上げた売り上げは急激に落ちることはありませんが、膨張によって上げた売り上げは、いずれしぼむか、悪くすれば爆ぜてしまいます。ここが成長と膨張の違いです。

 先ほどのM&Aの話も、新規事業の話も、社員の成長なくして達成できるものではありません(ここのところは、実体験として身に染みています)。

 本当に100億企業を目指すのであれば、しぼんだり爆ぜたりしないように、社員のフェーズを上げることを忘れないようにしてください。フェーズを上げないで、短絡的に売り上げを上げ、100億を達成したのであれば、いずれ必ず失敗するでしょう。

「フェーズを上げるには社員教育だ!」と考えるかもしれません。間違いではありませんが、正しくもありません。社員教育の前に、または同時にやることがあるからです。それは、仕組みづくりです。社内に営業の仕組みがなければ、教育の効果は望めません。具体的には「営業自動化」の仕組みです。

 手間と時間とお金はかかっても、社員のフェーズを上げてください。あなたにその覚悟がなければ、100億企業を目指してはいけません。経済産業省の100億企業宣言は、あなたの覚悟を試しているのです。

 


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