第356話 素人が組織改革で陥る罠

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「先生、話はよく分かりました。あとは自分たちでやってみます」
先日、個別相談にお越しになった中小企業の社長です。
何の話かというと、毎年展示会に出展しているにもかかわらず、まったく成果が出ていないこと。営業成績は右肩下がりのじり貧になっていること。そのため社内が暗く、社内がギスギスしていることなどでした。そして、これを改善する方法を具体的に知りたいという話です。
この社長はセミナーに参加されていますので、ショールームとは何か、導線とは何かを、ある程度理解しています。加えて、個別相談でより突っ込んだ質疑になりましたので、理解度は増したものと思われます。
セミナーや個別相談は、平易な言葉でわかりやすくお話します。専門用語とか学問的な用語を使わずにお話します。それは、お客様が理解しやすいようにするためです。
難しいことを難しく話すのは案外簡単で、難しいことを分かりやすく話すのは難しいと言います。これはその通りで、コンサルタントの世界では「サルでもわかるくらい易しく話せ」ともいわれているくらいです。
さて冒頭の社長、コンサル料金が惜しくなったのか、自分たちで改善してみるとのお言葉。もちろん、自分たち自身で改善できれば一番いいのですが、そうは問屋が卸しません。だからコンサルタントがいるのです。
これまでの経験でいえば、セミナーを聴いたり本を読んだりしただけで、自社の問題を解決した話を聞いたことがありません。
正確に言えば、仲間のコンサルタントから、それができたお客様が1社だけあったと聞いたことがあります。そのコンサルタントが書いた本を読んで、自社だけで問題を解決したというお客様です。
たぶんそのお客様は、改善のノウハウをすでに持っている状態でコンサルタントの本を読み、何かのヒントを得たものと思われます。
考え方も手法も、戦略・戦術も持ち合わせていない経営者が、単独で問題解決できるとは到底思えません。もしそれができるなら、その問題はそれほど大きな問題ではないということです。
ところで、自社だけで問題解決しようとすると陥る罠があります。それは何かというと…
①根本療法ではなく、対症療法に走ってしまう
②役割分担をすることで解決できると勘違いする
③目的が手段にすり替わってしまう
大きく言えば、この三つに集約できます。
皆さんが風邪をひいたとします。その時、風邪薬を飲みますね。解熱剤、咳止め、鼻水止めなどですね。これは、風邪の諸症状を緩和するだけのものです。本来は、風邪をひかない体を作ることが大切であり、そのためには良質な睡眠、食事、運動が欠かせません。
皆さんのビジネスでも同じように、対症療法に走ってしまうことがあります。これではいつまでたっても根本的な解決にはなりません。これが①です。
イベントや展示会の打ち合わせ会議に、出させていただくことがあります。その時にほとんどのクライアントで起こることが二つあります。
一つは、役割分担をして、その役割の進捗状況を確認することに終始してしまうことです。役割分担することはいいことです。その担当者に責任を持ってもらうことでイベントはスムーズに運ぶからです。
しかしイベントの目的は、それによって売上・利益を上げることです。もちろん、知名度・認知度を上げるという目的もあるでしょう。しかし、それだって最終的には売上・利益につなげたいわけです。
二つ目に、本来の目的を忘れて手段や方法に議論が偏ってしまうことです。「その方法では集客できないから駄目だ」とか「そのやり方では社内の業務に支障が出るから避けよう」とかです。
目的は集客ではありません。契約をとることです。それによって売上・利益を上げることです。社内の業務を優先するのであれば、そもそもイベントなんかやらなければいいはずです。本来なら、イベント成功のために社内の業務をどのように効率化すべきかの議論でなければなりません。これと同じことが、経営会議でも行われます。これが②と③です。
こういった点を踏まえると、会議のファシリテーターは重要な役割を担っていると言えます。逆に言えば、ファシリテーターのスキルが低いと、イベントは本来の目的を達成できません。
会議のファシリテーターに限らず、道筋を整理し、目指す方向性を示し、一緒に走りぬいてくれるメンターが必要なのは明らかです。
混沌とした時代であるからこそ、組織改革の罠にはまらないための、確かなメンターが必要だと思いませんか?



