第362話 インフレ経済とデフレ経済、どちらにも強い組織を作る方法

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「あれ?こっちの方が安いじゃん」
当社のクライアントの社長が、最近のコメの価格を見たときの反応です。この社長、地元のJAで年間のコメを予約購入しています。自分の家庭で年間に消費する分を、まとめて予約することにより、一般的な価格より安く購入できるというしくみです。
必要な時に必要な分だけ、精米したてのコメをチケットで購入できるし、一般価格よりも安いのであれば利用しない手はありません。要するに、安くて便利だということです。
ところが、皆さんご存じのとおり、最近のコメの価格は急激に下がっています。一時期、5キロで5,000円という価格であったコメが、最近では3,000円という価格がついています。コメ余りの状態なんですね。需要と供給のバランスが崩れました。
この状況に対して地元JAも、チケットの価格を段階的に下げて(差額を返金する方法で)対応していましたが、市況の値下がりが急すぎて対応しきれなくなりました。それで、予約チケット代よりも、一般店頭価格の方が安いという状況になったのです。
世の中は円安でインフレ状態です。しかしコメに限っては、今年は価格がぐんぐん下がって「超デフレ」状態になりました。昨年、一昨年と急激に価格が上昇した反動が来たのです。
そこでインフレ経済とデフレ経済における、購買に対する基本的な考え方をお話ししようと思います。
企業によって様々な事情があるため、そのまま貴社に当てはまるかと言えば、そうではないと思います。しかし、考え方として理解しておいた方がいいです。
まず、インフレ経済であれば、将来にわたってモノやサービスの価格は上がっていきますので、なるべく多く手持ちを確保しておくのが正解です(サービスはストックできませんが…)。将来、価格が上がるなら、安いうちに買っておこうということですね。
一方、デフレ経済下では、将来価格が下がるのですから、いま必要な分だけ購買するのが正解です。たくさん買ってストックしておくよりも、将来価格が下がるなら、その時々に買った方がいいはずです。
この様なことは、当たり前すぎて「何を今さら、そんなこと言ってんだ!」とおしかりを受けそうですが、実は、頭でわかっていてもできない方や、そもそもそういうことに無関心な方もいます。
例えば、1個1万円の商品が、3個買えば26,000円になる場合、皆さんはどうしますか、心が動きませんか? 1個しか必要がないのに、いつか必要になるだろうと思って3個買ってしまうということはありませんか? そして買ったとたんに1個8,000円に値下がりしたとしたら、高いものを買ったことになりますね。そして、そもそも不要なものを買ったということになります。
この場合、デフレ経済を理解していないことになります。この様なことは日常茶飯事であり、皆さん気が付いていないだけのことです。
冒頭のコメの例だけではなく、ビジネスでも同じことが起きます。ある会社は、年間に一定数量を購買する約束で仕入れ単価を抑え、加えてリベートを受け取るという契約を仕入れ先と交わしていました。
しかし、この発注方法は、コメと同じでデフレ経済下においては通用しません。リスクの高い発注方法です。
これに気が付いたこの会社の経営者は、上記の発注方法を解除し、その都度発注する方法に切り替えました。その結果、仕入れ単価は高くなり、リベートも受け取れませんでしたが、それ以上に市況が値下がりしたのです。
市況に合わせて販売価格も引き下げなければなりませんので、いままでの発注方法を続けていたら大きな損失が出ていたところです。
しかし、このような発注方法をやめられない経営者もいます。頭でわかっていても実行できないのです。なぜか…?
それは、リベートの存在です。
特に問屋や商社が差別化できていない商品を扱う場合、付加価値が低くなります。付加価値が低いということは、売っても儲からないということですので、どうしてもリベートをあてにします。
-この場合のリベートとは、一定期間内に一定の数量を購買することにより、仕入れ先から販促金を受け取るというものです-
極端に言えば、商品を赤字で売ってもリベートで穴埋めできると考えます。したがって、喉から手が出るほどリベートが欲しいのです。これが、デフレ経済下でも大量発注をやめられない理由です。
もちろん、ほかの理由もあります。長い付き合いだとか、お互い様だとか、信頼関係だとか…。しかし、こういった考え方がゾンビ企業を生み出す一因になっています。特にリベートは悪です。
相手に「生殺与奪権」を渡さずに、独立中小企業として自立していくには、大企業や仕入れ先に依存していてはダメです。リベートをあてにしているようでは、望むべくもありません。
独立中小企業になるためには、自社で「見込客開拓から契約までの導線」を作るに限ります。自社で独自の導線を構築できれば、インフレにもデフレにも強い組織を作ることができます。ここのところは、よくよく肝に銘じてください。



