第353話 顧客はあなたの製品を買っているのではない



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「先生、何でもそうですが、売る人によって製品の良し悪しが決まっちゃいますね」

 当社のクライアントの社長が、コンサルティングの最中に何気なく漏らした言葉です。何のことかと聞くと、ある保険を契約するのに営業の担当者と相性が合わないとのこと。

 こちらが聞いてもいないことを話す。こちらが話をしている最中にもかかわらず、腰を折って話をかぶせてくる。なんとなく高圧的な態度で話してくる…。皆さんも経験ありませんか?こんな人。

 社長の話は、直接コンサルティングとは関係ありません。しかし、考えようによってはこんなことも言えます。

 世の中のビジネスは基本的に、お客様が存在するから成立しています。そうでない場合もありますが、多くの場合は、お客様があなたの製品やサービスを買ってくれるから経営が成り立っています。

 したがって、見込み客にどのようにアプローチし、どのように製品やサービスを紹介し、どのようにすれば納得して購入・購買してもらえるかを考えなければなりません。

 そういう意味では、社長がふと漏らした言葉ながら、重要な要素が隠されていると言えます。そうです、見込客開拓から契約までの導線作りです。その導線の中に、一つの要素として接客技術があります。

 接客技術というと、お客様から聞かれたことにすぐに答えられる製品知識がある、お客様に分かりやすい言葉で伝える、数値やデータを使って説明できる、などと考えるかもしれません。これはショールームアドバイザーが犯すよくある間違いです。

 もちろん、そのようなことは大切なことですが、それよりももっと大切なことがあります。それは、お客様に納得してもらうための「アドバイス」ができることです。

 お客様に丁寧に製品説明しても、お客様が聞く耳持たなければ契約できません。お客様に関心を持ってもらい契約してもらうためには、お客様の悩み事、困っていること、その製品やサービスを使って何をしたいか、などを知る必要があります。

 そのためには、お客様の話をよく聞くことです。あなたが一方的に話してはいけません。商談は、製品知識の豊富さをひけらかす場ではないのです。

 そして、もう一つ。それよりもっと大切なことがあります。第一印象です。

 第一印象の良し悪しは、なかなか消えるものではありません。すぐに払しょくすることは難しいです。

 冒頭の社長も、たった1本の電話での会話で、相性が合わないと感じてしまったのです。それによって、契約どころか面談にも行きつくことができませんでした。電話は、相手の表情を読み取ることができないことに留意する必要があります。この場合は、導線の初期の段階でしくじったことになります。

 保険などと言うものは、しくみを買うようなものです。掛け金が安ければ保証が薄い。掛け金が高ければ保証が手厚い。保険会社によって掛け金が多少高い、安いということはあるでしょうが、基本的には保証の内容によります。

 そういう意味では、保険というしくみは、大きく差別化できません。どこの保険会社でも、似たような保険を販売しています。

 では、どこで差別化するか、ということです。それが冒頭の社長の言葉です。

 自分に合った保険を見つけ出すことは、経験上、素人には難しいです。多種多様なプランがあり、それは複雑怪奇です。保険のプロだからできることです。

 保険のプロだから見込み客に最適な保険プランを提案できるといっても、第一印象を悪くしてしまっては契約できません。

 まずは第一印象を良くし、そのうえで見込み客の話をよく聞き、見込み客に最適な保険プランを提案することです。この当然のことが、なかなかできないのです。

 ただ単に保険というしくみを買うだけの話ですが、そこには人間的なやり取り、感情、好き嫌いなどがあることを忘れてはなりません。差別化が難しい商品やサービスを販売している企業は、大いに参考にすべき戦略・戦術だと言えます。

 お客様は、直接的には、あなたの製品やサービスを買っていることは間違いありません。しかし真には、あなたの製品やサービスを使って、問題の解決や課題に取り組みたいのです。そこを理解せず、製品やサービスをいくら上手く説明しても、見込み客は買わないでしょう。

 見込客開拓から契約までの導線を設計すること。その導線における各種技術を磨くこと。重要な戦略・戦術です。

 


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