第170話 中小オーナー経営者が鍛えるべき感覚的判断
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中小企業経営者の中には、「とにかく何でも周りと相談して決める」という方がいます。合議制による決定で、それはそれで結構だと思いますが、「それで自分の経営ができるの?」と疑いたくなります。
特に二代目の若い経営者は、経験のなさから何でもかんでも周りと相談してからという方が多いです。一方、ベテランの経営者は自分の独自の判断で決める方がいます。それだけ知識と経験があるということです。
オーナー経営者の場合、資本も経営権も独占していますので、その分責任は重大です。したがって、よく考えてからという気持ちは分からないでもないですが、経営判断にはスピードが求められます。そんな時に「周りとよく相談をして決めます」では機を逸する可能性があります。
以前、セミナーにお越しになったベテランの経営者の方がいます。この会社は建築、リフォーム、小売りと事業を多角化していて、地元では有力な中小企業です。
会社自体は売り上げも利益も上がっていて順調なのですが、唯一心配なのは戸建て住宅部門です。広いモデルハウスを都市部と郊外に合わせて2か所お持ちです。
ところが近年、ライバル店が近くに進出してきて売り上げが右肩下がりになってきました。これまでは、競合が少なかったこともあって利益もそこそこ満足に取れていましたが、最近では価格競争にさらされています。
そんな折、たまたま当社の書籍を日経新聞の広告で見つけて購入。書籍で紹介されているホームページを見て、セミナーを開催していると知ってすぐに参加されました。
「先生、本を読みました」
「こりゃあ、俺が直接先生と会わなきゃいかんと思ってセミナーに参加しました」
「よく分かりました。ありがとうございました」
講義終了後の質疑の時間に、このようにお話になって、満足そうにセミナー会場を後にされました。
セミナー終了後、「社長はよく分かったと言っていただいた。良かったな」と、こちらは思っていました。
その後しばらくして連絡があり、個別相談のご依頼をいただきました。ショールーム営業コンサルティングが、自社にマッチするかどうかの実務的な判断をするためです。
そのときまでは、社長の「よく分かりました」という言葉がセミナーの内容を指すものだと思っていたのですが、実はそうではなく、「先生の人柄や実力がよくわかりました」ということだったのです。
「それで会社の幹部に相談したけども、形ばかりの相談で、実は自分の判断で決めました」とのことで、その場でコンサルティングのご依頼をいただきました。
お客様との出会いは、案外偶然に、ということが多いです。今回のように、たまたま社長が日経新聞の広告を見たことでご縁が生まれました。そして、社長が自分の判断でサッと決めました。直感というか波長というか、この人なら自分の望みをかなえてくれそうだとか、悩みを解決してくれそうだとかの「感覚」です。
それを周りと相談してなどと言っているのであれば、コンサルティングの依頼にはならないでしょうし、仮にコンサルティングを受けていただいてもうまく行かないはずです。
中小オーナー企業経営者の方は重い責任を負っています。したがって「重要なことは周りとよく相談をして決める」のはよくわかります。「じっくりと考えて」というのも分かります。
しかし、あなたはオーナー経営者です。オーナーだから何をやってもいいということではありませんが、オーナーにしか判断・決断できないこともあります。そのときに「周りとよく相談をしてから」では機を逃しませんか? 自分の経営ができますか?
経営者なら、その感覚的判断を鍛えるのも大きな仕事です。