第21話 セミナー講師は本物のコンサルティングができるか? 2020/2/18

 「細井さん、ジャズシンガーが演歌を歌うって言うのは無理がありますよね」と言って同意を求めてきたのは仕事仲間のコンサルタントです。聞くとこうです。あるジャズのミニライブに行った時の話。最初は有名なジャズの名曲を歌い、オリジナル曲と続いていきました。途中で休憩が入り、なかなかいいライブだと思っていたのですが、第二部は趣向を変えて日本の演歌を歌い始めたらしいのです。ジャズ風にアレンジするわけでもなく、楽器もジャズそのまま。声を張り上げても前には出てこない。「ん~ちょっと無理があるよな、こりゃあ」と思ったそうです。それで冒頭の言葉になったという次第。

 音楽のことはよくわからないし、ましてやジャズと演歌の違いもわからないですが、ジャズシンガーが本物の演歌歌手のように歌えるとは到底思えません。もし歌えるなら本物の演歌歌手になればいいのですから。たぶんそのミニライブは、客を楽しませようとしてそういったテーマのライブにしたのでしょう。それならそれで大いに結構なことで、聴いている客が満足すれば何も問題のない話です。しかし、ジャズシンガーがお金を取って演歌を聞かせようとしたならこれはいかがなものか。

 ジャズシンガーと演歌歌手は、「歌う人」ということでは同じですが、歌い方も声の出し方もステージ衣装も違う、まったく「別の人」と言えます。同様にコンサルタントの世界でも、コンサルタントと名乗っているものの、実はセミナー講師だったりタレントのような人もいます。コンサルタントといえばダイナミックコンサルタントを指しますので、セミナー講師やタレント風のコンサルタントとは全く違った職業と考えています。

 それでは、セミナー講師が本物のコンサルティングはできるでしょうか? セミナー講師だってできるぞという人もいるかもしれません。しかしそんな人はかなり少数派でしょう。ジャズシンガーが本物の演歌歌手のように演歌を歌うようなものです。セミナー講師は自分が学習した知識を、切り口を変えて学生や企業の社員に分かりやすく、時には面白おかしく話します。そして、セミナーが終われば受講者に、「ああ、いいセミナーだった」と言ってもらえるように日々研鑽しています。一方ダイナミックコンサルタントは、企業経営者と1対1で真剣勝負のコンサルティングを行います。面白い話をするわけでもなく、目立つこともしませんが、非常に実務的で経営者にとっては頼りになる存在です。

 ダイナミックコンサルタントは理論と経験をミックスさせ、それをコンテンツにしてクライアント企業に儲かるしくみを導入します。もちろんセミナーを開催している方が多いですが、それは経営者を招いての少人数のもので、何かを教えるとか作業をするというものではありません。セミナー講師が行うそれとは全く別物です。

 皆さんがコンサルタントを選ぶときは、ジャズシンガーか演歌歌手か、というのと同じように、セミナー講師かダイナミックコンサルタントか、をよく吟味して選んでください。本物のコンサルティングが欲しいのに、契約してしまった後に、「あれ!?この人セミナー講師だった」ということのないように。

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