第271話 自社のショールームを同業他社と差別化する方法



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「先生、今日は、社長は相当目からうろこが落ちてますよ」

 こう話すのは、ある会社の経営幹部の方です。

 この方は会社の上司である社長と一緒に、当社のセミナーに参加されました。社長と一緒に参加するくらいですから、社長の右腕ということでしょう。

 セミナーの休憩時間に、社長はトイレか電話か、会場を出ていきました。そして、そっと冒頭の話をしてくれたのです。

 この会社は建設関係で、ショールームを持っています。そして近々、もう1か所作ることになっています。

 これまで小さな地方都市で、ショールームを使って売り上げを増やしてきました。そして、さらに売り上げを増やすためにショールームを作る計画なのですが、ちょっと懸念があって当社のセミナーに参加しました。

 その懸念とは何か? 商圏内でショールームを持っているのはその会社だけだったのが、最近はあちこちに同業者他社がショールームを作りだした。そのショールームは、どう見ても自社をまねて作っている。したがって当然、競争激化し売り上げが伸び悩む。そのカンフル剤的にショールームを作ることしたのだが、果たして成功するか、という懸念です。

 セミナーでは「ショールームだけでは儲かりませんよ」「ショールームにお金をかけてはいけませんよ」「飲み食い・景品で集客するショールームイベントをやっても契約になりませんよ」…などと申し上げています。

 そして「しくみを作ってくださいよ」「導線が大事ですよ」「必勝パターンがあれば職人でも契約できますよ」と申し上げています。

 まだまだほかにも、この社長にとっては目からウロコの内容があったのでしょう。一番前の席で食い入るように話を聞いています。

 当社のセミナーは少人数で開催していますので、参加者の方と対話をしながら進めていきます。疑問に思ったことや分からないことなどは、講義の途中でも参加者の方から質問が飛んできます。したがって、疑問と納得を繰り返しながら、あっという間に時間が過ぎていきます。

 さて、それはさておき、新しく作るショールームを活用して売上を上げられるかという懸念です。もちろん、売上を上げるためにショールームを作るのですから、そのようなショールームを作らなければなりません。しかし、ここで間違いが起きます。

 同業他社が自社のショールームをマネして作っているのだから、今よりも立派なショールーム、製品やサービスがたくさん展示されているショールーム、来館者に楽しんでもらえるショールーム…。こんなショールームを作ろうとします。

「どうだ!ウチはもっと立派なショールームを作ったぞ。マネできないだろ」。こんな風に自慢顔で、お客様や取引先にお話になります。この会社もそうなる寸前でした。

 それがそのまま悪いとまでは言いません。ご自分がいいと思って作ったショールームを、当社が「役に立ちませんよ」などと言うことはありません。

 しかし、しかしですね、それだけで同業他社と差別化できたと思っているなら、社長をやめたほうがいいですね、と言いたいのです。

 要するに、姿かたちだけを立派にして他社と差別化できたと喜んでいるようでは、遅かれ早かれ、また同じショールームが雨後のタケノコのようにできてしまいますよ、と言っているのです。そして、さらに競争が激化してショールームに投資した多額の資金は回収できませんよ、と言っているのです。

 それではどうすれば良いのか。どうすれば、同業他社と差別化したショールームを作れるのか?です。

 この会社には、そのためにクリアすべき課題が山積しています。しくみを作ること、導線を作ること、必勝パターンを作ること、ショールーム営業戦略を支える組織を作ること…。

 そして最も基本的で肝心な、ショールームの形態が定まっていません。「ハコ」「モノ」であることには間違いはありませんが、大切なのはその内容です。

 顧客が何を望んでショールームにやってくるのか、顧客の興味と関心は何なのか、顧客は何に悩んでいるのか…。それが分からずに、ハコモノの立派なショールームを作っても契約はできないのです。

 この会社には、しくみがありません。社長のリーダーシップや能力だけでここまで来ました。そういう意味では立派な会社ですし、立派な社長です。しかし、もう一段売り上げを伸ばし、地域No.1の地位を確立したいのなら、これまでの考え方、やり方を改めるべきです。

 セミナーに参加して目からウロコが落ちたとともに、社長の頭の中では次の一手が思い浮かんだと言います。当社は、そのように浮かんだ戦術・戦略を実行できるようコンサルティングで全力応援しています。

 


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