第262話 人を頼るな、人を巻き込め
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「先生、人を頼るとロクなことはないですね」
こう話すのは、セミナーに参加された卸売業の社長です。
「卸売業の社長がなんでショールームなの?」と思われるかもしれませんが、この会社は定期的に展示会を開催しています。しかし、なかなかよい結果を得ることができないため、その開催方法が間違っているのではないかと疑問に思い、それで当社のセミナーに参加されたというわけです。展示会はショールームの一種です。
セミナーでは「人は頼るものではない、巻き込むものだ」と話しています。その言葉に反応したのか、休憩時間中に冒頭の社長が自分に言い聞かせるように話しかけてきました。
創業したての頃、事業がうまく軌道に乗らず、周りに頼ってばかりいたとお話になります。うまく行かないことが多いため、藁をもすがる思いであちこちの人に頼っていました。ビジネスと関係のない人、例えば家族とか、かつての上司や後輩とか、知人とか友人とか…。
このような人たちは、今の自分のビジネスとは関係がありませんので、大したアドバイスはできません。というより、有害なアドバイスになりかねません。なぜならば、社長のビジネスを理解している人ではないからです。「素人」だからです。その素人に頼っていては、ビジネスがうまく回転するはずもありません。
他にも、いい噂が立たないということです。人を頼るということは、頼った人にはメリットがある一方、頼られた人にはメリットはないばかりか、面倒な話だからです。そして人は、自分に関係のないことは、人に面白おかしく話したがるからです。こうして話に尾ひれがついて噂が広まります。いい事は全くありません。
人に頼るということは、自分が主体になっていないということです。相手が主体なのです。自分自身がビジネスの主体であるべきなのに、実際には生殺与奪権を相手に渡しているということです。
頼る相手次第で自分のビジネスが変わるのであれば、生殺与奪権を渡していると言ってもいいでしょう。それで「経営者です」「社長です」はあり得ません。自分自身が主体でないのであれれば…。
自分が主体であれば、人に頼ることはありません。自分自身で何とかしようとします。それが強さになっていきます。そして、さらに強くなるために人を巻き込むようになります。
自分一人ではやれることも限られてきますが、人を巻き込んでビジネスを行えば、やれることが大きくなりビジネスも成長します。そして生殺与奪権は自分にあるのです。
もし他者から連携を求められた場合は、そのときは主体がどちらなのかを事前にはっきり決めてください。そうしなければ事後に必ずトラブルになります。自分が主体でなければ報酬も少ないでしょう。しかし、それならそのような仕事をすればいいだけのことです。
自分が主体であればあるほど、ビジネスを真剣に考えれば考えるほど、誰かに相談したくなる時が必ずあります。どうしたらいいかよく分からない、どちらの道に進めばいいか分からない、何をやってもうまく行かない…。
みなさんなら、こんな時どうしますか。人を頼りますか?
先ほどお話ししたように、人を頼るのではなく、自分自身が強くなることです。自分が強くなれば、自分の周りに強い人たちが集まってきます。その人たちを巻き込んでビジネスを行うのです。そうすればさらに強くなり、さらにビジネスは成長します。これを「重力が生まれる」と言います。
そうは言っても、迷うことはあるでしょう。どうすれば良いか分からないこともあるでしょう。誰かに頼りたくなることもあるでしょう。そんな時は誰に相談しますか? 家族ですか、かつての先輩後輩ですか、知人や友人ですか?
家族に相談するのはわかります。しかし、それはビジネスの本質の相談ではないはずです。決めた後の事後相談のようなものです。
迷ったら誰に相談すれば良いのか? その道のプロに相談すべきです。プロはあなたと同じように、道に迷いながらその道を究めた人です。専門性もあり、独自性も持っています。相談でなくて「頼る」でもいいです。
プロはそれをビジネスとしていますので、当然お金がかかります。しかしその金額は、あとから思えばとてつもなく安い金額だと思うでしょう。
プロはプロをに相談する。だから増々強いプロになっていく。例えば、一流のアスリートが一流のコーチやトレーナーを雇うのと同じです。支払った金額の何倍にも戻ってくることを知っているからです。
あなたは誰に相談しますか? 誰を巻き込みますか? 決して素人に相談してはいけません。そして自分が強くなってください。そうすれば、強い相手を巻き込むことができます。