第182話 3代目社長は、なぜ社員アンケートをとったのか?



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 社長と言っても色々で、裸一貫自分で起業した社長、先代から会社を受け継いだ社長、違う道に進もうとしていたが、やむなく跡を継いだ社長。立場によって経営のやり方も方針も異なるでしょう。

 創業社長であれば、とにかく自分の言うことをきけとばかりに命令するでしょうし、後を継いだ社長なら、古参の幹部役員がいて遠慮がちに方針を示すでしょう。

 ある卸問屋の社長は3代目です。卸問屋と言っても小売り部門を持っていて、小さなショールームがあります。

 そのショールームを使って毎年イベントを行うのですが、マンネリ化しています。多少集客はできるのですが、営業マンが拝み倒してきてもらっているため売り上げはさほど上がりません。

 3代目は、続けようかやめてしまおうか悩んでいます。そこで社員にアンケートをとりました。アンケートの多数は「やめる」です。理由は「面倒だから」「意味がないから」です。

 アンケート結果を見て、「もうやめようか・・・」という考えに至って、ほかの役員に相談しました。古参の幹部はこれに怒ります。

「なんでそんなことするんですか?」
「それじゃあ、これまでの努力が水の泡じゃないですか」
「そもそも、社員にアンケートをとるなんておかしいですよ」

 言われてみればその通りです。「じゃあどうするか」ということで、すったもんだした結果、きちんとイベントをやることになりました。そして当社にご相談がありました。

 伺ってショールームを拝見しました。イベントも立ち会いました。感想は、・・・です。何をしたいの? というレベルです。しかしまあ、そのほうがやりがいがあるのですが。

 それよりも古参幹部の言う通り、「なんで社員にアンケートをとって判断するの?」ということです。そんなものは参考にもなりません。なぜなら社員の立場で、経営を考えることはないからです。

 社員の顔色をうかがって営業戦略を立てるなんて愚の骨頂です。判断できないとか決断できない社長では、困るのは社員です。

 社長が判断して決めたのですから、社員はそれに従うのが当たり前です。それで失敗したら社長の責任です。社員は行動に責任を持ち、社長は結果に責任を持つのです。

「今の自分には、社員を束ねる実力がなくて・・・」

 こういう社長は実力をつけてください。さもなくば、社長を降りればいいだけの事です。決断できない社長が社長の座にいてはいけません。

 実力をつけるには、自分自身で判断して決断して命令することです。そしてそれを繰り返すことです。社員の顔色をうかがっていては何の実力も付きません。

 繰り返しますが、社員は社員という立場でしか判断しません。決して会社全体を考えて判断しません。それが普通です。それを、社員に聞いて判断するなんて間違っています。

 社長!、あなたほど会社のことを考えている人はいません。そして、あなたが判断して決断するのです。それができなければ、コンサルティングを行っても成果は出ません。

「ショールームを再生して売り上げを上げる」
「営業だけでなく全員で取り組む」

 こう宣言して、部下に命令すればいいのです。何の問題もありません。

 それともあなたはまだ、部下の顔色をうかがって決断しないおつもりですか?


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