第223話 クライアントの本質的な問題点を見抜け!
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「え!ショールーム営業コンサルティングじゃないんですか?」「じゃ、どんなコンサルティングだというんですか?」
びっくりした表情で聞き返してきたのは、セミナーに参加されて当社をずいぶん気に入っていただいた、ある工務店の社長です。
セミナー後、個別相談をご依頼になったのですが、その場でいろいろなお話を伺ううちに、あることに気が付きました。ショールームをどのように活用するかという課題よりも、組織をどのように管理するかということの方が重要だということです。そしてそちらの方が優先度は高いと。
もちろん当社はショールーム営業のコンサルタントですので、ショールームを中心にした営業の導線を設計するアドバイスしています。この工務店の社長もそのつもりでいました。
しかしこの社長の話を聞いていて、どうも腑に落ちない部分があり、しつこく何度もお聞きすると「やっぱり!」と思える問題点がゴロゴロ出てきました。
その主な問題点は、社長の要望に集約されていました。
まず、コンサルティングは社長ではなく、部長をリーダーに社員と行ってほしいということ。理由は、社長はじめ主な役員は、ショールームに関して知識がないし 部長に任せてあるから。
次に、社員を営業現場で指導してほしいということ。理由は、コンサルティングで説明を受けただけでは実践できないから。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング、日本語で言うと実地訓練)してほしいということ。
このような要望は、実はよくあるケースです。
当社では、個別相談やコンサルティングに入る前に「魚の釣り方は教えますけど、当社が魚を釣ることはありませんよ」と申し上げています。しかも、くどいくらいに。
ほとんどの方はそれでご理解いただけるのですが、この工務店の社長はご理解いただけなかったため「それではコンサルティングはお受けできません」と話すと「そりゃ困る」ということで、妥協点を探ることになりました。
このクライアントは、社長はじめ役員の方がショールーム現場を社員に任せきりにしていたため、営業戦略と組織戦略のズレが起きていました。リーダーの部長はいたものの、社長の眼が行き届いていなかったことが、その最大の原因です。
結局、ショールーム営業コンサルティングは実施するが、出席者は社長と取締役にすること。そして内容を、組織管理の要素を入れることとしました。したがって「純粋なショールーム営業コンサルティングではないですよ」と申し上げたところ、冒頭の社長の言葉になった次第です。
当社は「ショールーム営業コンサルティング」のほかに、アドバンストコースとして「経営のショールーム化コンサルティング」を承っています。「経営のショールーム化~」は「ショールーム営業~」を受けていただいた方のみを対象にしていますが、今回の場合は、この2つを組み合わせて同時に行うという「変則特別コース」にしました。
コンサルティングはパッケージ化されていますが、その2つのパッケージを混ぜて1つにして、いっぺんに行うイメージです。本来は禁じ手ですが、まあそれでもクライアントの本質的な問題点を見抜いてご指導し、それで結果が出ればそんなうれしいことはありません。
「組織は戦略に従う」といいます。
この工務店の本質的な問題点は、ショールーム営業戦略に見合った組織づくりができていないことです。ここを見誤って、ただ単にコンサルティングを行ってもうまく行かないし結果も出ません。そして「あのコンサルタントは役に立たん!」などと言われてしまいます。
そうならないためにも、お客さまであるクライアントにも本音でご指導できるコンサルタントでありたいと思っています。