第160話 独自の製品やサービスがなくても売れる方法

 独自の製品やサービスを持つことは、その企業にとって大きな強みとなります。いいものを作れば製品力で売れていくことも考えられます。

 しかし、現在ではそのようなことはほとんどなく、きちんと売れるための準備や営業活動を行わなければ、売れるものも売れない状況です。今は、高度経済成長期やバブル経済期ではないのです。

 そこで皆さんは消費者動向を調査し、消費者が欲しがるモノを作ってショールームや展示会でPRし、売り上げを伸ばそうと考えます。画期的な製品、みんなが驚くような製品、便利な製品、・・・。

 そのような製品はそう簡単に生み出せるものではなく、たいていは何か基本形があって、それに付加価値をつけるような形で製品開発します。したがって何か一つヒットすると、雨後の筍のように次々と類似製品が生み出されます。そして価格破壊が起こるのです。

 仮に、これまでになかった製品を開発したとしても、営業がうまくできなければ売れません。いわゆる「いいモノを作っても売れない」状況に陥ります。それくらい営業活動は重要だということです。

「先生、うちはヒット商品がないのでなかなか業績が上向きません」
「何とかOEMで食いつないでいるものの、コストダウンばかり要求されて全然儲かりません」
「類似製品ですが自社製品がありますので、これを何とか販売拡大していきたいです」

 ある製造業の経営者の方が当社のセミナーにお越しになり、セミナー終了後の個別相談で、このような悩みや願望をお話になりました。

 この会社、小さなショールームをお持ちです。そのショールームはと言うと、自社製品が陳列してあるだけで、ほとんど活用できていない状態です。たまにイベントを開催しますが、OEM受託製造に売り上げを頼っているため、イベントのための営業活動はできていません。と言うより、やり方を知りません。

 そんな状況ですから、ショールームで自社製品をPRしようとしても集客すらできません。したがって、ますますOEM受託製造にのめりこむことになります。

「社長、OEMが悪いわけではありませんが、依存しすぎると生殺与奪権を相手に渡すことになります」「せめて売り上げの50%は自社製品で上げるのがいいですよ」。こう申し上げました。

 しかし、そうは言っても類似製品があるだけで、これと言った製品はありません。どうするか?

 この時はセミナー後の無料個別相談でしたので詳しくはお話しできませんでしたが、要するに、多くの顧客の中からその製品を必要としている層を見つけ出すことがカギとなります。

 特別な製品でなくても、例えばリーズナブルだとか、少し高いがこれまでの製品より格段に使い勝手がいいとか、何かその製品の持つ特徴を見つけ出してショールームで表現するのです。加えて、見込み客開拓から契約までの導線を作ることです。

 それには「売れる準備」「営業活動」「販売活動」「アフター営業」、それぞれに要素や仕掛けが必要になります。一長一短に導線を設計することはできません。

 この社長には導線設計の概略をお話しし、必要であれば後日また連絡をもらうことにしました。ただ、「ご自分で導線設計するのは、まず無理ですよ」とだけ申し上げておきました。過去にもそのような事例があり、最終的には当社にお願いをしてきた会社が数社あるからです。

 経営者なら誰もがいい製品やサービスを開発して売り上げをあげたい、儲けたいと考えます。しかし、誰もがいい製品やサービスを開発してヒットを飛ばすことはできません。

 そのようなごくわずかな可能性を探るのではなく、確実に儲けられる営業方法を考える方が現実的です。それが経営者だということです。

 当社はショールーム営業コンサルティングを通じて、そのような経営者の方のお手伝いをしています。

 

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