第152話 考えたことを実践するから成功する
ビジネスにおいて、新しいやり方や考え方が常に出てくるとは限りません。多くの場合は定番があって、それを応用した形で自社に合ったやり方を探っていくということになります。したがってA社にはこのやり方で成功したけど、B社には合わなかったということは度々起きうることです。
そして重要なことは、考えたことは実践しなければ価値はないということです。考えただけで実践しなければ、それが自社に合っているのかもわかりません。要は、トライアンドエラーを繰り返し、少しづつ自社のやり方を作り上げていくことです。
あるお客様にコンサルティングにいったときのことです。
「先生、そのアイデアはもうすでに我々が考えています」
「新鮮味もないし、そういうのは古くないですか?」
ショールームの活用について、一つの方法を提案しましたが「却下」されてしまいました。確かに、斬新な活用方法ではないし、ちょっと考えれば誰でも思いつくような提案でした。
当社の場合、コンサルティングは対話形式で行います。コンサルティングブックをテキストにしてコンテンツを進めていくものの、その中で意見を出し合ったり議論したりして、アイデアを実際に実践できるように導きます。議論が行き詰まると当社が提案することもあります。
ところが困ったことがたびたび起きます。それは「頭で考えただけで実践しない」というものです。正確に言えば「できない」のです。
なぜか?
組織の中の力関係、人間関係が影響をします。いいアイデアを出してやってみようとするのですが、いつの間にかどこかで邪魔が入り意気消沈してしまいます。
コンサルタントというと、さっそうと現れて素晴らしい理論で一気に問題解決するようなイメージを持つかもしれませんが、決してそのようなことはありません。むしろ泥臭く、地べたを這うような努力を積み重ねていくものです。
ショールーム活用法にしても、一気に解決できるような新しいアイデアがあるわけではありません。その道のプロならば、皆さんが普通に考えられるアイデアばかりです。
ところが皆さんとはちょっと違う点があります。それは考えたことは実際に実践できる点です。
組織のしがらみがあまりないということもありますが、実践力が普通の人よりあることが理由です。多くのダイナミックコンサルタントは会社員を辞めて独立・起業しています。そのような人は自分のビジネスを一から構築し、今のビジネスを回しています。したがって、実践力がなければとてもできる仕事ではありません。
またメンタルも強く保っています。やり遂げるという意志が強くなければ、途中で挫折ということになりかねません。実践力と精神力を兼ね備えた人が多いというわけです。
そのようなコンサルタントからすると、考えただけで実践しないのは、何もしていないのと同じです。考えて、やろうとしても邪魔が入ってやれないのは経営者の責任です。
冒頭の発言のように、「もうすでに考えていて、それは古いからやらない」のは、やれない理由を説明しているにほかなりません。
「やれない言い訳をしている暇があったら、さっさとやったらどうだ?」と言いたいところですが、やはりお客様の都合もあります。それをしっかりやっていく道筋を立てるのが、コンサルタントの役割だということです。
ノウハウをお伝えしただけでは、お客様は実践できるとは限りません。ノウハウをお伝えして、実際にそれが実践できるまでご指導しなければ、本物のコンサルタントとは言えません。
当社は小さな会社ですので、しがらみも組織の圧力もありません。そして実践力と、あきらめない精神力があります。この特徴を生かして、お客様を成功に導いています。