第130話 社会のしくみが変わるときがチャンス

 社会のしくみが大きく変わったと言えば、近年では明治維新と終戦でしょう。世の中が大混乱に陥り、特権階級はなくなるし、雨後の筍のように新興勢力が現れ、それぞれが力をつけた時代です。

 そして、大混乱と引き換えに世の中は洗練され、住みやすい日本に変化してきました。それは、多くの犠牲のもとに成り立っていると言えます。

 最近ではコロナとの戦いが2年以上続き、そろそろ収束かという時に、今度はヨーロッパで戦争です。そして、また東北で地震です。東日本大震災以降、アベノミクスで経済が順調に回復し、みんないい気になっていたのではないかと思うほどです。

「細井先生、コロナの次は戦争ですよ!」
「こう石油や原材料が高くなってはとてもやっていられません」
「私は何にも悪いことしてないのに、何でこう色々起きるんでしょうね」

 こう話すのは、中小モノづくり企業のN社です。

 石油はすべての製品とサービスに大きな影響を及ぼしますので、原油高になれば日本のみならず世界中の経済に打撃を与えます。そして原料高につながりますので仕入れが高くなり、N社のような中小企業にとっては大打撃です。

「先生、どうしたらいいでしょうね?」

 最近、個別相談にお越しになったN社の社長は、OEM受託企業から脱却して自社独自の製品を自社ルートで販売する予定でいました。ところが、その矢先のコロナと戦争です。少々くじけ気味です。

「社長、コロナも戦争もいつ終わるか分かりませんよ」
「終わるのを待っていたらタイミングを逃してしまいますので、予定通り製品開発と販売ルートを作りましょう」
「それに、ピンチはチャンスです」
「社会のしくみが変わるときがチャンスなんですよ」

 こう話して個別相談を終えました。

 今後、この社長がどうするか分かりませんが、新しい市場を作ったり新しいビジネスを始めるには、今、絶好のチャンスが訪れていると言えます。

 もちろん失敗して、「そら見たことか」などと笑われる可能性はあります。しかし、そんなこと言わせておけばいいです。そういう輩に限って何もできない意気地なしです。「慎重」と言えば聞こえはいいですが、要は、意気地がないのです。

 もちろん、プロジェクトを行うには勝算がなければいけません。しかし、このN社はもう何年も前から温めてきたプロジェクトです。そして勝算はあると言います。

「だったら社長、さっさとやりましょうよ」と言っても、怖くて足がすくんでいるようです。「ショールーム営業」というのは、特別な能力や難しい技術を必要としません。ただ一つ、あきらめないことと努力し続けるという姿勢が必要なだけです。言い替えれば、それができれば誰でも取り組める営業法です。

 こんな世の中だからこそ取り組む価値があります。そして、社会のしくみが変わるときこそ、これまでのショールームの概念をひっくり返す絶好のチャンスです。

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