第147話 ワイドショーとコンサルティングの共通点

 昼のワイドショーというと、時局に対して素人(失礼!)が自分の立場で意見を言うというのが定番です。司会者がいて、コメンテーターがいて、時局に対して素人意見をぶつけ合うというものです。

 もちろん、その中にはその時局の専門家もいて、その専門家の話はなるほどなと思わせられますが、それ以外の素人が分かったような顔をして得意げに意見を言うというのは何か釈然としません。それが面白いからテレビ各局は、こぞってそのような番組を放送しているのでしょう。

 ただしそれは、その人から見た時局に対する意見であって、素人がただ単にそのように感じているだけのことです。その人の考え方や見方をとやかく言うつもりはありませんが、よくわからずに発言をしているのであれば無責任な話です。

 先日、ある商工会議所のセミナーとして時局講演がありました。割と有名な方が講師として招かれていて、ちょっと興味がありましたし勉強のつもりで出かけました。

 話の内容は単純です。業界の裏話やニュース報道で出てこない話を、面白おかしく持論展開します。日本政府のやっていることや政治家のやっていること、敵対する評論家の言っていること、これらに対して厳しく批判します。

 聴衆の皆さんからは、うすうす感じていることや、普段思っていることをズバリ鋭く切り込むものですから、ウケます。他人の喧嘩が面白いのと同じです。そこにはワイドショーと同じで何の悪気もありませんし、何やら一人ワイドショーをやっているようなものです。

 今回の一人ワイドショーの講師もそうですが、日本の社会を動かしているのは一部のエリートです。もちろんエリートだけで動かせるほど単純ではないですが、我々多くの人はワイドショーを見ているような人たちです。

 エリートにはエリートなりの苦労はあるでしょうが、大所高所の立場ですので、どうしても庶民感覚とずれます。一見、論理的で理屈は通っているように思えますが、「何かどこか違う」といった感覚になります。

 「じゃあ何が違うのか?」と聞かれると返答に困るので言い出せません。論理的であればあるほど、違和感が増すといったらいいでしょうか。

 これは大手コンサルファームのコンサルティングと似ています。

「理屈は分かるけど、うちには合わない」
「言っていることは合理的だけど、何か違う気がする」

 中小企業の社長が、コンサルファームのコンサルティングを受けたときに話す感想と同じです。

 大所高所の議論は当然必要ですし、批判をすることは大切です。間違っている(と思われる)ことを批判をして、それを正すことは世の中をよくしていくうえで必要なことです。ただし、それがワイドショー的な批判なのか、実務的で真剣な議論なのか、我々はよく見極めなければなりません。

 我々が本当に必要としていることは、その時局に対してどのように生き延びて、どのように発展していくかということです。その議論は実務コンサルタントにしかできません。

 大手コンサルファームのように、数字とデータを押し付けるようなコンサルティングでは、現場(社員)がついてこられません。コンサルティング採用の判断は社長がしますが、実際にやるのは社員です。

 コンサルティングは社員が実際にやれなければ意味がありませんし、そのような指導ができるコンサルタントを見つけなければなりません。自社にマッチしたコンサルタントを見つけ出すのは容易ではありませんが、あきらめずに探せば必ず出会えます。

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