第325話 日本の多くの中小企業は愚直にモノづくりをする

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「細井さん、このところず~っと景気が悪いんですよ」
鉄工所を経営する知り合いの社長の言葉です。この会社は従業員を何人も雇っているわけではなく、家族で細々と経営をしています。
もちろん下請けの下請けの、またその下請けといった立場です。自動車関連部品を元受けから受注して納入しています。
昨今、自動車は電気が主動力になりつつあり、そうするとこれまでの町工場はいらなくなります。部品点数もずいぶん減ってしまうでしょう。
そんな中で金属部品の加工をしているのですから、いまのビジネスに危機感を抱いて当然です。
「ところで、いつごろから景気が悪くなったんですか?」と、お聞きすると、なんと「リーマンショックのころから」という返事。
「ちょっと待って、リーマンショックって、いまから20年近くも前じゃない⁉」。口には出しませんでしたが、あきれてしまいました。
この社長の話によると、リーマンショックから少しずつ受注が減ってきて、今では付き合い程度に元受けから仕事が回ってくる。これまでまじめに仕事をしてきたおかげで、何とかお付き合いをしてもらっているとのことでした。
受注が少しずつ減っていく中で、何もしなかったわけではないにしても、今頃になって景気が悪いとはどういうことか。いわゆる「ゆでガエル」状態になっていたのでしょう。
さて、この会社に限らず、受注が少しずつ減少して、気が付いたらにっちもさっちもいかなくなっていたということは現実にある話です。
「そんな人は経営者には向いていないのだから、ビジネスをやる資格はない」という方がいます。確かに理屈はそうですが、理屈通りにならないのがこの世の中。職人の立場から経営者になった方を何人も知っています。
そのような方たちの共通の特徴は、仕事はしっかりしていて丁寧だが、カネ勘定にルーズ、営業が下手、戦術・戦略立案ができない、しくみづくりができない、です。
これはひとえに「見よう見まね」で仕事を覚えてきたことに原因があります。要するに、彼らにとって会社は仕事をする場であって、ビジネスをする場ではないということです。
仕事とビジネスの違いについて、当社ではこのように定義しています。
●仕 事 :状況に合わせて考えて行動する(作業)
●ビジネス:資本を使って資産を増やす活動
いかがでしょうか? 仕事は作業に近いですから、やり方を覚えて、うまくやれるようになればお金になります。一方、ビジネスは今ある資本(自己資本、他人資本)を使って、資産を大きくする活動ですから、知識とか知恵とか、ノウハウが必要です。もちろん、仕事の経験も必要な場合が多いですが、その比率が変わってきます。
前段の社長も、金属加工の技術はいいが営業が下手、戦略・戦術がない、受注の導線を作れていないという問題を抱えています。問題を抱えていながら、その解決方法を知らないし、今では知ろうともしていないのです。そこが本当の問題です。
中小企業が中小企業であり続ける理由があります。それは社長がビジネスをやろうとしていないからです。社長が仕事をしているからです。
「社長が一生懸命仕事して何が悪い!」と、おしかりを受けそうですが、もしあなたが中小企業から脱却して大企業の仲間入りをしたいというなら、ビジネスをやってください。社長が経営をするから会社は大きくなるのです。
ただし、経営は会社を大きくすることが目的ではありません。「世の中のためになる製品やサービスを作り、それを買ってもらい、お客様に喜んでもらうこと」が目的のはずです。当社では、これを「マーケティング」と呼んでいます。
いかに難解な理論を駆使しても、また、いかに著名な経営者から教えを受けたとしても、それが本当に自身の価値観と会わなければ、それは「絵に描いた餅」「傀儡のビジネス」です。
前段の社長は本物の経営者とは言えないかもしれませんが、請け負った仕事を一生懸命まじめにやるという姿勢は評価しなければなりません。事実、そういう社長が世の中には多いのです。そういった社長が日本を支えているといっても過言ではありません。
日本は愚直にモノづくりをしてきました。今後もそうであってほしいと思います。金融、IT、AIなどで発展した国もありますが、そのような国は自動車や船舶のつくり方を忘れてしまったようです。そんな国に日本はなってほしくないと思っています。
当社は、愚直にモノづくりをする中小企業の社長を強力に応援します。



