第305話 言葉は「わかりやすさ」と「刺さる」が命

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先日の参議院選挙で、与党が議席を減らしたというニュースが大きく報道されています。定員が決まっている以上、議席を増やす党があれば減らす党もあるわけで、国民民主党、参政党が大躍進した一方、与党の自民・公明党が議席を減らしました。
自民・公明党はなぜ議席を減らし、大躍進した国民民主党、参政党はなぜ議席を増やしたのか? 石破さんがダメだとか、コメをめぐっての発言がいけなかったとか、政治と金の問題とか、いろいろな要因はあるでしょう。
誰か一人の問題ではなく自民・公明党全体の問題であるし、誰かが責任を取って辞めれば済む問題でもありません。石破首相は退陣するのでしょうか。いずれにしても、首相はいい世の中を作るリーダーであってほしいと願います。
当社は政治の専門家ではありませんので、ここでは政治的な考察はやめて、発信する言葉に優劣があったのではないかという視点で考えてみたいと思います。参議院選の最中に、どのような言葉で発信してきたかを参考に考えてみます。
まず、議席を伸ばした国民民主党と参政党です。
国民民主党は「もっと!手取りを増やす」でした。近頃の物価上昇は、庶民にとって見過ごせない問題です。名目賃金は上がっても、実質賃金は物価上昇に追い付いていない状況です。何もかも値上がりして「生活が苦しい」という人もいるわけです。
そんな人たちからすれば「もっと手取りを増やしてくれるなら一票入れよう」となっても不思議ではありません。むしろ当然でしょう。
参政党は「日本人ファースト」です。最近のインバウンドは目を見張るものがあります。政府が外国人旅行客を増やそうと施策を打っているのが効いているのでしょう。それで潤う人もいますが、一方、増えすぎて迷惑だと思っている人もいます。
また、外国人の労働者が大量に日本にやってきて、文化や習慣の違いからトラブルになったり、事件・事故になったりと問題も発生しています。政府は、外国人とどのように付き合っていくかという課題に取り組むチームを立ち上げたくらいです。
そんな中で「日本人ファースト」は、外国人に対して苦々しく思っている人にとって、とても刺さる言葉でした。
一方、議席を減らした自民党と公明党です。
自民党は「強い経済」「豊かな暮らし」「揺るぎない日本」です。公明党は「やると言ったら、やり切る。」です。両党とも言いたいことはわかります。でも、何かぴんと来ないんですね。分かりにくいんです。
実際に自分たちに、どのような良いことがあるのか、得をするのか、暮らしやすくなるのか、が伝わってきません。靴の上から足を搔いている感じです。
人間には基本的欲求というものがあります。難しい経営理論で説明すると、ややこしくなりますので、当社の考える欲求理論でお話しします。
当社が考える人間の基本的欲求とは「お金が儲かる」「お腹がふくれる」「気持ちいい」「人に対する優越感」です。一つ一つ説明しなくても、お分かりになりますね。人間であれば、皆が必ず持っている(べき)欲求です。
今回の参議院選で躍進した国民民主党と参政党は、この欲求を満たすような、分かりやすい言葉で選挙戦を戦いました。そして、それが有権者に刺さったのです。もちろん様々な要因があるのは承知していますが、ここに票を伸ばした政党と伸ばせなかった政党の違いがあります。
皆さんに置き換えてみると、ショールームとか展示会とかで製品説明する場面がありますね。そのときに、業界の専門用語や難しい理屈を並べて説明していませんでしょうか。
相手がその道のプロであれば、それでも通用するかもしれませんが、相手が一般ユーザーや消費者であったらどうでしょう? 仮に、その人が製品を良く研究して精通していたとしても、やはり分かりやすい言葉で説明するのが重要です。
そして相手が何を望み、何に悩んでいるかを理解したうえで、先ほどの欲求を刺激する言葉を使わなければなりません。そうでなければ刺さらないのです。
文章とか言葉は、うまければいいというものではありません。もちろん読みやすい、聞きやすいほうがいいに決まっています。しかし、最も大切なのは「わかりやすさ」と「刺さる」ということです。
言葉は普段、何気なく使っていますが、武器や道具にもなる反面、ビジネスをダメにする凶器にもなることを知っておくべきです。
あなたは、分かりやすい言葉で、お客様や部下と接していますか?



