第296話 中小企業がショールームを作っても成功しない本当の理由「作り方」

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「中小企業がショールームを作っても成功しない」
これは、ずいぶん昔から言われていることです。そうですね、私が知る限りは30年以上前から、このようなことがささやかれていました。まだ会社員を一生懸命やっていた頃のことです。
その当時、それはなぜなのかを深掘りすることはありませんでした。「多分、資金力とか、人材の問題とかが原因なんだろう」くらいにしか思っていませんでした。
月日が経って、自分がショールーム営業コンサルタントを起業してみると、それは間違いであることに気が付きました。
「中小企業だからショールームを作っても成功しない」のではありません。ましてや「資金力とか人材の問題」でもありません。答えは、単に「ショールームの作り方、使い方を知らない」だけだからです。これは中小企業のみならず大企業にも言えることです。
今回のコラムでは、この理由の一つ「作り方」について書いてみます。
ショールームはビジネスのキーデバイスです。ビジネスにおいて非常に価値の高い集客装置です。したがって、ショールームを所有するということは、経営者の憧れでもあります。中には道楽で作ったという方もいます。
あこがれとか妄想とか道楽で作ったショールームは、たとえ活用できていなくても「せっかく作ったショールームだから、多少コストはかかっても、まあいいじゃない」と、こうなります。
皆さんも、趣味で集めたコレクションを、家族から「邪魔!」と言われても捨てられないのと同じです。効率化とか収益化とかよりも、愛着の方が勝ってしまう状態です。もしそうであれば、売却するとか、閉鎖するという決断がなかなかできません。
しかし、これならまだいい方で、何も考えずに作ってしまう方もいます。
「何千万円もかけてショールームを作るんだから、何も考えずに作るなんてありえないだろ!」という方がいますが、ちょっと違うんです。
確かに、ショールームにかける予算とか、立地とか、展示品とか、そういったことは一生懸命に考えるでしょう。要するに「姿・形」です。ところが、肝心の「内容」が抜けてしまっています。内容というのは「独自性」「専門性」「客観性」のことです。
独自性とは読んで字の如くです。世の中のほとんどのショールームは、独自性がありません。たまに間違えて、狂ったような飾りつけをするとか、野球場を思わせるようなショールームを作る方がいますが、そういう意味の独自性ではありません。自分自身の「価値観」でショールームを作っているか、ということを言っているのです。その価値観をショールームで表現し、お客様と共有することが大切です。そのためにはまず、自分自身の価値観と向き合う必要があります。
専門性というのは「なんでも」ではないということです。これはたぶん、自社のビジネスの根幹製品を展示するわけですから、多くの方が考えていることでしょう。しかし「あれも展示したい、これも展示したい」で、気が付いてみればコンセプトのないショールームに成り下がっているケースがよくあります。これを「足し算の展示」といいます。本来なら「引き算の展示」でなければなりません。引き算の展示とは、何を展示しないかを考えるということです。
そして最後の客観性です。これが実行できていないショールームは本当に多く、ここに問題点が潜んでいるのです。 客観性とは「お客様から見て」ということです。お客様から見て、そのショールームは魅力的なのか、価値はあるのか、行ってみたくなるのか、を考えて作らなければなりません。 しかし、ほとんどの方は自分の都合で考えてショールームを作ってしまうのです。
この話をすると「そんなことはない。お客様第一だから、お客様の利便性を考えて作っている」という方がいます。しかし、よ~く思い返してみてください。「お客様のために」を「自分の都合」で考えていることに気が付きます。
例えばバーチャルショールームです。バーチャルにすれば家にいながら製品を見られると思っていますね。また、無人ショールームです。無人なら気楽だと考えていますね。しかし実は、これらは固定費削減を狙った施策である場合が多いのです。
他には、予約制もそうです。「予約だから、時間通りに確実に説明を受けられる」というのが建前ですが、実は「人手不足で、突然ショールームに来られては困る」というのが本音です。
ショールームを作る時には独自性、専門性、客観性が重要です。決して、姿・形でショールームを作ってはいけません。大切なのは、その内容なのです。
作り方を間違えなければ、あとは使い方です。次回のコラムでは、この点について書いてみようと思います。
あなたのショールームには独自性、専門性、客観性はありますか?