第274話 自分の弱さを認めることができる人だけが強くなれる
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「先生、ショールームは、たった2坪でもいいって本当ですか?」
こう話すのは、ある屋根工事会社の社長です。ショールームを3か所持っていて、2か所は支店の、割と広いショールーム。もう1か所は、本社の小さなショールームです。
この会社はホームページからの問い合わせや紹介、SNSの広告などで見込み客を開拓しています。そして営業が屋根材のサンプルを持ってお宅に訪問し、その場で契約を取るスタイルが定着しています。
社長は勢いあまって支店に広いショールームを作りましたが、作っただけで活用されていません。案の定、物置になっています。施工前の部材とか、営業が使うカタログだとか、掃除道具まで置いてあります。
使われないショールームであれば、持っていても仕方ありません。邪魔になるだけです。もしくは使い勝手の悪い物置になるだけです。
資産は活用して初めてお金に変換できるのですが、活用できなければ、お金が入ってくるどころか税金として出て行ってしまいます。したがって会計的に言えば、活用できない資産は売却の対象です。
社長は、ここで悩んでいました。活用出来ていないのは事実だが、せっかく作ったショールーム。何とか残す方法はないか。それとも思い切って売却してしまうか。なかなか踏ん切りがつきません。
たまたま当社のホームページを見つけて「これだ!」と直感して、セミナーにお越しになりました。「たった2坪でもできる~」というタイトルにひかれたと言います。残すか売却するか、当社のセミナーを聞いて決断しようと考えたのです。
ショールームは優秀な集客装置ではありますが、実際に集客できるか否かは、その使い手にかかっています。ということは、ショールームは過剰に広く立派である必要がないということです。
ショールームを運営する経営者の方で、ここのところが分かっている方は非常に少ないと言えます。同業他社が立派なショールームを作ると、対抗心むき出しで、さらに立派なショールームを作ってしまいます。冒頭の社長も、実は、そんな対抗心があって支店のショールームを作ったと白状しています。
セミナーの質疑応答の中で、そのように自分の本心を話すことは簡単ではありません。失礼なのは承知の上で「お金も人材もないのに、なぜ、そんなたいそうなショールームを作ったんですか?」とお聞きすると、大抵は、しどろもどろになって取り繕ったような答えしか返ってきません。
そういう意味では、この社長は非常に立派だと言えます。自分の愚かさを認め、次の一手をどうすれば良いのか、それを当社のセミナーでヒントを得ようとしているのですから。
自分の弱さを認められない人がいます。虚勢を張って「自分は強いんだ」「自分こそが正しい」などと、息巻く人がいます。
全く赤の他人で、ビジネスに無関係であれば放っておけばいいのですが、多少なりとも関係性があれば、我慢してお付き合いしなければなりません。ただし、それは表面上だけのことで、信頼関係を持ってお付き合いする必要はありませんね。
冒頭の社長は、本心をさらけ出して答えてくれました。そして「先生、何とか業績を改善したいです。お手伝い願えませんか!」と言っていただけました。
当社はコンサルタント業を生業としていますので、クライアントの業務上の守秘義務を負っています。したがって、セミナーやコンサルティングで得たクライアントの情報を、他者に漏らすことは一切ありません。そこを理解したうえで、この社長はご自分の弱さをさらけ出したものと思われます。
時折、強がって怒鳴り散らす社長、肩で風を切って歩く社長、他社の悪口ばかりを言う社長、そんな社長に出くわします。他人に弱さを見せたくないのでしょうが、みっともないですね。
本当の意味で強くなるためには、自分の弱さを認め、自分に足らない部分はプロに補完してもらう。これが必要です。そうすれば、そのノウハウはやがて自分のものとなり、強みがますます強くなります。
強がってばかりいては、弱さを補完することはできません。弱さを認められる人だけが強くなれるのです。
あなたは、自分の弱さを認めることができますか? それとも強がったままの方がいいですか?