第268話 社長! 相談相手を間違えていませんか?
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「先生、申し訳ないですが、今回のコンサルティングは見送らせていただきます」
電話でこう話すのは、当社の個別相談にお越しになった製造業の社長です。
何とか下請け体質から抜け出そうとして自社オリジナル製品を作ってはみたものの、自社独自の販売ルートを持たないため、なかなか思うように売れませんでした。
そこで製品PRのためショールームを作ったのですが、こちらもうまく回せずに閑古鳥が鳴く始末。「何とか打開策を…」ということで当社のセミナーにご参加になり、その後、個別相談ということになりました。
個別相談は、社長と取締役お二人がお越しくださいました。会社の事情をお聞きしたところ、どこにボトルネックがあるのか、どのように改善すればいいのかが、うっすら分かってきました。
そして、具体的なコンサルティングの内容や料金などを提示します。もちろん質問にもお答えします。質問が白熱すると、予定の2時間を超えることもあります。お互いに納得しないとコンサルティングがうまく進まないからです。
質問が途切れると、かなり納得されたものと判断できますので、普通はコンサルティングの依頼という流れになりますが、今回の場合は少し違った展開に…。
「先生、ちょっと会社に戻って検討したいんですが」
こんな風にお話になるので「まだ何か納得されていないのかな?」とは思っていましたが、結論は冒頭の言葉となりました。
コンサルティング契約は「結婚」みたいなものですので、どちらか一方が好いていても、どちらか一方が嫌っていては契約になりません。当たり前です。
「十分お役に立てるだろうな」と思っていましたので、ちょっと残念な気持ちがありましたが、そこはビジネスですので仕方ありません。しかし、お断りの理由を聞いて?マークが頭の中を駆け巡りました。
その理由とは「社員が『そんなことにお金を使わなくてもいい』と言ったから」。
聞いてあきれました。なんで社員に聞くの?
社員は、会社の構造的な問題点や課題を分かっていません。分かっているのは社長もしくはごく一部の役員だけです。社員は常に、自分の立場でしかものを考えません。当たり前です。その権限を与えていないし、その役割ではないからです。
多分察するに、コンサルティングにお金を使うくらいなら、自分たちの給料を何とかしてくれ、福利厚生を充実してくれ。そんな要求ではなかったかと。
あとで聞いた話ですが、作ったショールームは社員のフィットネスための施設に作り替えるとか何とか。
ビジネス成功の方法は、ショールームありきでもなければ、コンサルティングありきでもありません。正解は一つではありませんし、何が成功かは人それぞれです。ビジネスとは自分の成功の方程式を探す手段と言ってもいいでしょう。
したがって、社員の給料を上げるのもいいですし、福利厚生施設を作るのもいいでしょう。それでビジネスが成功すれば、の話ですが。それで下請け体質から脱却ができれば、の話です。しかし、そんなわけありません。それは対処療法だからです。
そもそも、この会社の最大の問題点は、社長自らが判断も決断もできないことにあります。もちろん、周りの役員に相談することはあるでしょう。迷ったり悩んだりすることの連続ですので、信頼のおける部下と相談するのは当然です。
しかしこの場合、社員にアンケートを取ったというから驚きです。社員にアンケートを取れば、社員は自分たちに都合のいいことしか答えません。自分たちの目の前の待遇しか考えていないからです。それが分からないようでは、社長としてはいかがなものかと…。
この会社のあるべき姿は、下請け体質から脱却して、元請けや大企業に依存しない独立中小企業として自立することです。そのための戦略は何か? ここを総合的に考えることが重要です。それによって社員の待遇が改善できるのです。社員の待遇改善が先ではありません。
そして、それを社長自身で考え、判断し、決断することです。役員に頼ってはいけません。ましてや社員に意見を聞くなんて最低です。自ら考え、判断し、決断するから強くなれるのです。そして迷った場合は専門家の意見を聞くべきです。
あなたは強くなりたくないですか? 弱いままでいいですか?