第242話 通り一遍のコンサルティングでは通用しない
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「先生、うちはリピーターが多いので、その点は安心なんですよ」
こう話すのは、ある製造小売業の社長です。しかし続けて、こうもお話になります。
「本店店舗ショールームの周りはお年寄りばかりで、周辺地域はどんどん人口が減っていく運命にあります」
「自分の時代はまだいいでしょうが、将来、息子に譲ったときのことが心配なんです。
この社長は若いころ、一念発起して独立・起業しました。そして苦労しながら会社を大きくしてきました。そのかいあって、今では社員が数十人いる企業に成長しました。
その要因は、もちろん社長の努力もありましたが、数十年前、ショールームを併設した工場店舗を出店したころから急速に地域開発が進み、人口が増えたことにあります。そして製品品質の良さと、リーズナブルな価格が相まって売り上げが増えていきました。
地域に認められた企業ですので「リピーター」が多くいます。したがって、営業をきちんとすればそれなりに売り上げは確保出来ます。
ただ心配なのは、地域開発されて以来数十年が経過し、お年寄りが多くなってきたこと。加えて、この会社の「ファン」といえる消費者が少ないことが挙げられます。
ここで「リピーター」と「ファン」の違いについて、当社の見解をお話ししましょう。
「リピーター」とは、その製品やサービスが好きだから、安いからといって、くり返し購入したり利用したりする人のこと。「ファン」とは、それだけではなく、勝手に良い口コミを流してくれる人のこと、です。
この意味で言えば、この会社にはリピーターは多くいましたが、ファンがいませんでした。もちろん、ファンはそれほど容易に増やせるわけではありません。リピーターをファンに育てるには、長い時間と仕掛けが必要です。しかし一方、この会社がファンを育てることをしてこなかったことは事実です。
さて、地域人口が減少するのは確実ですので、今後、売り上げをどのように確保していくか、そして二段ロケットのように再噴射させて、さらに成長させることが大きな課題です。
その取り組みの一つは、リピーターをファンに育てることです。人口減少分をファンで補おうというわけです。
もう一つの取り組みは、支店の「出店」です。この会社には、他の地域に使われなくなったショールームがあります。このショールームを復活させて販売拠点とすることです。このショールームは、ある事情があって一時閉鎖されていたものですが、これを復活させようというものです。
幸いにも、この会社の二代目はやる気になっていますし、社長は「やらせてみよう」と言っています。
うまく行くかどうかは、やってみなければ分かりませんが「先生、頼みます」と社長に言われていますので、全力でお手伝いするつもりです。
支店ショールームを復活させるのは一筋縄ではいきません。ある意味、新しく作るよりも難しいかもしれません。それはショールームそのものや展示品とかではなく、見込み客開拓から契約までの導線づくりを意味しています。当然、その地域にはライバル会社が存在するからです。
この導線づくりは、本店の取り組みであるファンづくりにも共通しています。導線を設計する最中にファンづくりの仕掛けがあるからです。
もちろん本店にしっかりした導線があるとはいえません。したがって、導線の再設計をしなければなりません。導線の再設計は、支店ショールームの復活とは別の意味で難しさがあります。
これで本店は社長、支店は息子が管理していくという、すみ分けができました。お互いが仲間でありライバルです。もちろん全体を管理するのは社長ですが…。
コンサルティングはお二人一緒に行いますが、重点となるポイントが若干違います。したがって、それぞれ抱える問題や課題を、しっかり見極めたうえでのコンサルティングになります。
この会社は社長と息子という関係でしたが、それでも、それぞれにマッチしたコンサルティングが必要になります。
ましてや企業規模も企業風土も、社長の考え方も価値観も違う会社を相手にする場合、通り一遍のコンサルティングでは通用しないことは、もうお分かりでしょう。
コンサルティングメニューは筋の通った基本形があるものの、実際に、その通りに進めることはありません。お客様の実情に合わせたコンサルティングが必要なのです。