第222話 ニーズを探しまくっていた住宅メーカーが、最終的にとった戦略とは



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「先生、完全に営業戦略の失敗でした」。そう語るのは、ある中小地場住宅メーカーの社長です。

 何が失敗かというと、小さな地方都市の郊外という立地にもかかわらず、常にニーズを探していたことです。「ニーズを探して、どこが悪いんだ?」と言う方もいるでしょう。

 細かい話になりますが「ニーズ」というのは「大きな必需品」です。人が生活するうえで、なくてはならないものです。例えば住宅でしたら「住むための家」です。住むための家であれば、建売住宅のように、グレードとか施主の好みとかはあまり関係がありません。したがって、一般的にニーズとしての市場は非常に大きいものがあります。

 この住宅メーカーの社長は、人口の多い都市部へニーズを探しに行きました。そしてその結果、コストはかかるは価格競争に陥るはで儲からなくなると同時に、協力業者にも強引に負担を求めたため「もうあそこの物件はやりたくない」とまで言われるようになってしまいました。それで冒頭の社長の言葉です。

 建売住宅のような低価格住宅は、こだわりとかいった個性はありません。防犯とか耐震性とかいった安全性は確保しているでしょうが、住んでみて「ああ、いい家だなあ~」と感じることはあまりありません。

 若いサラリーマンでも、少し背伸びをすれば手が届くような価格帯ですので、金太郎あめのような画一的な住宅しか作れません。そしてニーズを探していますので、どうしても他社と価格競争になります。

 社長はこれがほとほといやになって、当社にアドバイスを求めてきたのです。

 このまでは会社が持たないと判断した社長は、当社のアドバイスに従って考え方と行動を改めました。まず、ニーズは探しに行かないこと。そして顧客の「こだわり」を徹底的に調査・研究し、それを住宅に生かすことです。これは何を意味するかというと、住宅に個性を吹き込むということです。

 ただ、これまで建売住宅のような画一的な住宅を作って販売してきたわけですので、個性を吹き込むと言っても、住宅全体を個性的なものにするわけにはいきません。そこで見込み客の「ここだけは譲れない」というこだわりを徹底的に調査したのです。

 見込み客の「ここだけは譲れない」という欲求を丹念に拾い、それをモデルハウスイベントで表現しました。そういう見込み客を「ショールーム営業」で探し出したのです。

 住宅自体はこれまで通りの低価格住宅ですが、そこにワンポイント、見込み客の「譲れないこだわり」を入れ込んだのです。これは営業社員がモデルハウスを有効活用し、徹底的に顧客の「こだわり」を集めたからできたことです。社長がそういう戦略を取ったからできたことです。

 モデルハウスも変えず、顧客層も変えず、価格を下げずで、変えたのは営業方法とモデルハウスイベントのやり方だけでした。

 住宅全体としては普通の住宅です。しかし、そこには施主の小さくとも譲れないこだわりがあります。グレードはそれほど高くなくても、こだわりを聞いてくれるハウスメーカーを見込み客は選んだのです。これが社長が最終的に選んだ戦略です。

 経営のやり方は十人十色。正解はありません。今後、この社長はまた違った戦略を考えるでしょう。そうやって会社を発展させていくに違いありません。

 みなさんは今の戦略で大丈夫ですか? 当社は、皆さんがやりたい営業戦略・経営戦略をお手伝いする会社です。

 


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