第204話「社員をまとめる力がない」と言った社長の勘違い
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「私は社員をまとめる力がなくて、それで残念ですがコンサルティングの導入は見送ります」
先日、個別相談を終えて、その後、コンサルティングを導入を迷っていた社長の言葉です。
この会社のショールームを拝見しましたが、製品を並べただけで何の特徴もない、ありふれたショールームでした。何も奇をてらったショールームにせよと言っているわけではありません。
そうではなく、お客様の心に刺さると言いうか「ピクリ!」とするような仕掛けがないのです。お客様の興味を引くとか関心をくすぐるとか、そういった仕掛けがなければ「売れるモノも売れないんじゃないですか」と言っているのです。
だから当社にご相談になったとも言えますので、コンサルティングをご依頼になるのであれば、丁寧にご指導しなければと思っていたところに冒頭の言葉です。
当社の本をお読みになり、セミナーをお聞きになり、個別相談をご依頼になりました。本もセミナーも、ずいぶん気に入っていただいたものと思われます。
個別相談では、問題点、課題への取り組み方、コンサルティングの内容、条件、料金などをご説明し、ご理解いただいたものと考えていました。
もちろん個別相談の結果、コンサルティングは見送りという結論もありますので、今回についてもそれほど驚くような事ではありません。しかし、その理由が驚きです。「社員をまとめる力がない」からという理由です。
この言葉を聞いたとき「ちょっと待て、どういう意味だ?」と、頭の中が?マークでいっぱいになったことを覚えています。
営業戦略、経営戦略を立案し実行するのに「なんで社員が関係あるの?」と言いたいのです。多分、この社長は自分だけでは決められないたちなのでしょう。周りの役員のみならず、全社員にコンサルティング導入の是非を聞いたというのです。
その結果はバラバラ。「いい」という人もいれば「そんなのやめておくべき」という人もいる。結局、まとまらないのでコンサルティングは見送りになったという経緯です。
残念ながら、この社長は何か勘違いしていますね。この社長に必要なのは、社員の意見を聞く力ではなく、社員をぐいぐい引っ張っていく力です。
もちろん、社員が何を考え何をしようとしているのか、そういったことを聞く力、コミュニケーション能力は必要です。しかし間違えていけないのは、営業戦略のような重要案件を社員に聞いても意味がないということです。社員は会社の本質的な問題点や構造的な課題を理解しているわけではないからです。
まさか社員を断りの道具に使ったとは思いたくありませんが、それであれば、なんとも情けない社長です(ちょっと言いすぎか?)。
個別相談まで行っても、コンサルティングをお断りになる方もいらっしゃいます。それはそれで全然かまいません。お客様と当社が合わなかったのですから。しかし、社員をまとめられなかったからというのは、なんとも残念な話です。
最近は決められない社長が多いと聞きます。判断・決断できない社長です。営業戦略、経営戦略のような重要案件は、社長が決めてください。そして会社と社員を引っ張っていってください。チャレンジして失敗しても、間違ってもやり直せます。
この会社の健闘を祈ります。