第173話 職人集団のリフォーム店の社長が取り組むべき営業のしくみとは
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寒さが増してきた年の暮れに、ある小規模住宅リフォーム店の社長が個別相談にお越しになりました。その前に個別セミナーを受けていただいており、どうやら当社を気に入っていただいたようです。
「先生、お久しぶりです。お元気そうで」
「社長こそ、お元気そうで何よりです」
こんな簡単な挨拶をして、早速本題に入りました。そして社長はこうまくしたてました。
「先生、先日会っていただいた連中は営業なんですが、職人上がりなんです」
「うちのような小さな会社には、優秀な営業マンはいないんですよ」
「営業がヘタなんで仕事をよそに取られてしまって・・・、何とかしたいんです」
いきなり思いの丈を話されましたので、ちょっと驚きながら
「まあまあ社長、そんなに慌てないで、落ち着いて話しましょう」
「それで・・・、先日の方々は職人上がりの営業だったんですか」
「職人上がりだからといって戦力にならないことはないですよ。セミナーでもお話しましたよ」
当社のセミナーでは後半で、新入社員や職人でも効果的に営業を行う考え方と方法をお伝えしています。この考え方は結構重要です。この会社のような中小の建設関係の会社では、営業マンの育成に悩んでいる場合が多いからです。
営業が人員不足になると、仕方なく職人を営業に配置転換するケースがありますが、職人がいきなり営業と言われてもそうそううまく行くわけがありません。
この会社の場合もそのようで、「どうにも営業がヘタ」で受注を逃すケースが増えているとのことです。
リフォーム店に限らず中小企業では、このような状況にあるのではないでしょうか。皆さんの会社ではいかがですか? 適材適所とは言うものの、それは人材豊富な大企業が取れる戦法で、そもそも人材のいない中小企業では無理な話です。
じゃあ、どうするかですね。
人員を増やすとか適材適所とか、そうではなく、「足らない部分を補完するしくみを作る」ことです。どういうことか?
この会社のように職人上がりの人が営業をしなければならない場合、「お客さんの前でうまく話せ!」とハッパをかけても無理な話です。「なんで出来ねえんだ」と怒ってもぼやいても、できないものはできません。
そこで社長の腕の見せ所がやってきます。口下手な職人上がりの営業マンなら、職人の口になるようなツールを用意すればいい事です。
例えば、お客様の願望を叶え悩みを解決するようなチラシがあれば、そのチラシが物を言ってくれますね。そのチラシで職人の足らない部分を補完すること自体がしくみであり、そのしくみを作るのが社長の仕事です。
「そんなうまく行くわけない!」と思った方、試しにやってみてください。そうなんです、そんなに簡単にうまく行かないんです。
なぜか? コツがあるからです。
この会社の社長は、実はセミナーの内容をよく覚えていて、ご自分で実践してみたそうです。やっぱりうまく行かなくて、今回の個別相談になったということです。
しかし、やってみなければその難しさは分かりません。やってみたところ、自分ではできなかったので当社にご相談に来たということです。
この会社のケースでは、職人上がりの営業マンがうまく立ち回れなくて受注を逃していました。ほかにも例えば、新入社員をなるべく早く戦力として期待したい場合なども考えられるでしょう。
いずれにしても、試してやってみて、その難しさが分かったうえでコンサルティングを受けていただくと効果が出るのが早いです。
なぜか? うまく行かなかった理由が分かるからです。
実際のコンサルティングでも、課題に取り組んでいただく中で実践をしてもらいます。課題は実践と失敗を繰り返す中で当社のアドバイスを受けていただきます。そうすることで徐々に完成度が高まっていきます。
今回のような小規模リフォーム店では、常に人材不足に悩まされています。少し仕事ができるようになると独立する人も出てきます。その中で、経験豊富な営業マンを確保することはかなり難しいと言えるでしょう。
そんな時に、営業マンの不足部分を補完するツールが自社にはないか考えてみてください。人材がいないと嘆いているばかりでは、らちが明きません。
社長は営業のしくみを作ってください。それがあなたの仕事です。