第31話 コロナ景気
近頃、休業や閉鎖、縮小を強いられる業種・業界が多くある一方、一部のドラッグストアやスーパーマーケットではコロナ景気と呼べるほど売り上げがあがり、従業員に臨時ボーナスを出す会社があります。食料品や日用品を買い求める客が店に殺到し、感染リスクがあるにもかかわらずその対応に追われる従業員に報いるためだというのです。
この臨時ボーナスのニュースを見聞きしてどう思うかは、その人がどういう立場にいるかでずいぶん変わるでしょう。仕事を失ったり、休まざるを得なくなり収入が激減した人からすればうらやましく思えるでしょうし、臨時ボーナスを支給された本人や本人に近い人からすれば、頑張っているんだから報われて良かったと思うでしょう。
これは両極端の立場から見た見方ではありますが、考えるべきは、その両極端な当事者は当然のことながら、中立的な立場の人もこの現象をどうとらえるかということです。あなたは「臨時ボーナスが出せるなんてうらやましい」と捉えますか?それとも「うちの会社も世の中の変化を捉えてチャンスをつかみたい」と捉えますか?
いつの世にもピンチをチャンスに変えて、その度に成長していく会社はいくらでもあります。世の中が動乱している時期に機を見逃さずチャンスを掴むのです。幕末から明治初期にかけて三菱グループの基礎を築いた岩崎弥太郎はそのいい例です。貧しい家庭に生まれながら明治維新という世の中のしくみが大きく変わることを利用して大成功したのです。経済的な成功が正しいとか貧しいことが良くないとか、そういった低次元の話ではありません。成功しながらも心の貧しさをさらけ出している人がいるのですから。
従業員に臨時ボーナスを出したというニュースは良くも悪くも非常にタイムリーではありました。何せ多くの人が苦しんでいる状況下で景気のいいニュースでしたから。しかし、そのニュースを聞いてどう思うかどう行動するかということのほうが重要で、ニュースではその部分には触れていません。今こそピンチをチャンスに変える好機です。世の中が激変している最中にその後のことを考えておきましょう。そしてその準備を今、しておくべきです。
泣きたくなる状況ではありますが、起きてしまったことは仕方ありません。それよりも前を見ていきましょう。そして自分に問いかけてみましょう。「今取引しているクライアントや固定客だけで今後生き延びていけるか?」そしてそれに対して「どんな行動を起こすのか?」