第163話 役に立つセミナーと、役に立たないセミナーの決定的な違い
セミナーを頻繁に開催している当社としては、他者がどのようなセミナーをやっているか気になります。話の内容だけでなく、開催方法・・・例えば、リアル開催なのかオンライン開催なのか、話し方や資料の作り方、パワーポイントやホワイトボードの使い方などです。
したがって、時間があると他者のセミナーに出席し、自分のセミナーの参考にすることがあります。まさか同業のセミナーに身分を隠して参加することはありませんし、他者のセミナーのやり方をそのまま使うことはありません。しかし、良くも悪くも参考になる点は確かにあります。
セミナーを開催するにあたって当社が最も重要視していることは、お客様にとって「分かりやすい」ことと、「記憶に残る」こと、そして「役に立つこと」です。それはそうでしょう。分かりにくくて記憶に残らず役に立たなければ、お客様にとって無駄な時間とお金になるわけですし、当社にとってもコンサルティングの受注にもつながりません。
「先生のセミナーは分かりやすいし、内容をよく覚えていますよ」
「それに商売に役立つヒントが満載ですね」
このように言ってくださるお客様がいました。当社のセミナーに参加されて、そのあとの個別相談にお越しになった経営者の方です。ほかにも、セミナー終了後のアンケートで、そのような感想を書いていただける方もいらっしゃいます。
その経営者の方が話すことに、セミナーや講演を聞く機会が多いものの、自社の経営に役立つ、また印象に残るセミナーは少ないとのことでした。
確かに、例えば日銀の支店長が話す「日本経済の過去と今後の見通し」とか、有名ジャーナリストが話す「政治の昔と今」とか、大手コンサルファームのコンサルタントが話す「○○業界の人事・採用戦略」とか、そんな話は全く記憶に残らないばかりか、資料を見返すこともありません。
ところが、世間一般には全く無名であっても、自社にとって非常に役に立つ話をしてくれる講師がいます。そして、その話はいつまでも心に残り、当社のセミナーやコンサルティングに参考になります。
それでは、どこがどう違うのか? ということです。
前段のセミナーでは、パワーポイントを使ってデータをたくさん示し、論理的に説明します。もちろん手元資料も前方のスクリーンと同じものがあります。したがって、非の打ちどころがありません。
ところが、そこで使われるデータというのは過去の物であり、それを分析しても役に立たないことが多いということです。しかも、よほど特別なデータでなければ、今時ネットを探せば出てくるものばかりです。それを分かりやすくまとめたことについては拍手を送りたいですが、役に立たないことには変わりありません。
一方、後段のセミナーでは、手元資料はメモ用紙1枚きりです。分かりやすいようにパワーポイントで見せますが、データというものはほとんど出てきません。
その代わり、講師独自のやり方や考え方、経験談がふんだんに盛り込まれています。話し方も、参加者に話しかけるように、対話するように話します。自社のビジネスに役立つ話は、講師の成功談や失敗談です。それが聞きたいのです。データなどと言うものは過去を分析しているにすぎず、将来どのようになっていくかを示しているわけではないのです。
前出の経営者の方にこのことを話すと「なるほど! どうりで」と納得されました。
人は物語が好きです。その物語からヒントを得るのです。日本昔話やイソップ物語が語り継がれているのは、貴重な人生訓がそこにはあるからです。データにはそんなものはありません。
株価の推移を示すチャートで成功した人はいません。チャートを分析して、今後株価がどう動くか言い当てられる人はいないということです。なぜなら、株価は人の心理で動くからです。
もしあなたがセミナーに参加して、それがデータばかりのセミナーであったなら、その講師と契約したり本を買ったりしないほうがいいでしょう。どうせ役に立たないからです。
一方、自分の経験談を話してくれる講師であれば、その人はあなたの経営に役立つ人物に違いありません。経験から真理を見つけているからです。
当社は、経験と理論を組み合わせたコンサルティングを得意としています。データは一切使いませんし、専門用語も使いません。分かりやすく丁寧にご指導します。