第6話 ショールームへ行こう! 2019/11/5

「おーい、システムバスってどのメーカーのどんな製品がいいのか教えてくれ」と言って電話をかけてきたのは私の古い友人のT君でした。彼は近々自宅のリフォームをするとのことで、住宅設備機器事情に詳しい私にその辺のことを聞いてきたのです。

そういう時は私は必ず「ショールームに行こう」と答えるようにしています。なぜなら、理由は簡単、”百聞は一見に如かず” だからです。しかしただショールームに行こうだけではあまりにも不親切。数多くのメーカーがあり、グレードやオプションまで含めると数限りない製品の中から選ばなくてはなりません。目的を持たずに行くと、迷路に迷い込んだごとく何が何やらわからなくなり、出口が見えなくなってしまうからです。

そこでT君にこうアドバイスしました。まず、自分や家族の絶対必要機能を絞り込むこと。例えば、乾きやすい床であること、冷めにくい浴槽であること、安全のために手すりが付いていること、お掃除がしやすいこと、などです。次に、予算との兼ね合いがあったので、できるだけシンプルな製品を選ぶこと、でした。

このメーカーのこの製品が欲しい、という人は当然その製品をめがけてショールームへ行けばいいのですが、多くの人はT君のように何をどのように選べばいいのかよくわからず、ショールームで製品を見て説明を聞いてあれこれ迷った挙句、あそこのメーカーのあのショールームアドバイザーが親切丁寧で感じが良かったからこれにしよう、という風に決めることが多いのです。

今の世の中、価格やグレードの差はあれども、どの製品もある一定基準の機能性や快適性は備えており、粗悪品と呼べる製品はまずありません。差が付くのは顧客が意思決定をするまでのアプローチをいかに行うかによります。顧客をショールームに誘引する仕掛け、ショールームでの接客、価格など条件提示のスピード、こういったソフトの面が大きく影響します。

顧客にショールームに来てもらい、適切なアドバイスを行い、スピーディーに条件提示ができれば成約率はグンと向上します。しかも顧客は付加価値の高い製品を選ぶ傾向があります。そういった効果的なショールーム営業を行うには、単なる思い付きレベルの施策ではうまくいきませんし長続きもしません。きちんとしたしくみを導入し、長期的な視点で組織づくりをしなければなりません。

世間にはたくさんのショールームがあります。活用されて活気あるショールームもあればもったいないショールームもあります。もし貴社のショールームが ”物置状態” になっていたら、自社とどこがどう違うのか、活気あるショールームに実際に行って違いを発見しましょう。ショールーム営業の第一歩はそこから始まります。”百聞は一見に如かず” です。

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