第128話　成功者が持っている普通の能力

　職業柄、多くの中小企業の経営者の方とお会いしますが、成功している方は「これか！」と思えるような、ある共通点を持っています。なんだと思いますか？

　それは「当たり前のことを、普通に、そして愚直に継続してできること」です。「そんなの当たり前だろ！」とおしかりを受けそうですが、究極はこれに尽きると考えています。

　もちろん、ほかの要素もあるでしょう。基本的に頭がいいとか、器用だとか、発想が素晴らしいとか、チャレンジ精神があるとか、・・・。そして、運がいいとか。しかし、それらは結局、当たり前のことを普通に継続してできなければ「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

　例えば、オリンピック選手でも、基礎的な運動能力を鍛えたうえでそれぞれの競技の技術を磨きます。その基礎的な運動能力を維持するには、毎日の継続した地道な努力が必要です。これらは会社経営と同じです。

　これとは逆に「そんなことわかってるよ！もうちょっとマシなこと話せよ」などとおっしゃる方がいますが、そのような方は「分かっているつもりでいるだけで、実は、分かっていない」可能性が高いです。

　たぶん、自分に自信がおありなのでしょう。「そんな簡単なことじゃなくて、専門的なテクニックを教えてくれよ」とおっしゃいます。しかし、頭で分かっているのと実際にやれることとは、理解のレベルがまるで違うということです。

　長い間、多くの人、多くの経営者の方とお会いしてきましたが、人生において、また、商売において成功している人は「当り前なことを普通に継続した人」だと確信を持っています。

　もちろん日本一、世界一になろうとすれば、特別な能力とか運が必要でしょうが、そうでなければ「継続」が一番です。（成功の定義は人それぞれですので、お金を稼ぐことのみが成功と申し上げているのではありません）

　経営者の皆さんは学校で、あるいは会社で高等教育を受け、普段、難しいことを考えてお仕事をされていますので、簡単なことを難しく考えがちです。そして「どうしたら売れるだろう」といつも考えています。

　そうすると迷宮に迷い込むことがしばしばで、出口が見えなくなってしまいます。そうではなく、素直な心でもっと簡単に考えることです。

　例えば、セミナーやコンサルティングを受けるとき、本を読むときなどは「そんなの普通」と思わずに、「うちの会社は本当にそれができているか、継続できているか？」と振り返ることが大切です。

　できているならセミナーもコンサルティングも、本を読むことも必要ありません。しかし「そんなの普通」とおっしゃっている方に限って、当たり前なことができていない場合が多いです。

　セミナーやコンサルティングを受けるとき、本を読むときは、心の壁を取り払って、できるだけ白い心で臨むと吸収が早く成果も出やすいです。

「そんなこと分かっているよ」「そんなの普通」ではなく、「うちの会社はできているかな？」と振り返ってください。そして「当り前のことを普通に、愚直に継続」してください。そして、何度も何度も繰り返してください。

　コンサルタントは、そのお手伝いをすること。これが重要な仕事の一つです。