第69話 偽コンサルタントにご用心 その2
今週は偽コンサルタントにご用心のその2です。先週のコンサルタントはひどかったですが、今週ご紹介するコンサルタントは別の意味で問題ありです。どういう話かというと・・・。
居酒屋を経営する方が、もう1店舗出店するのに、今とは異なる店舗デザインにしたいと考え、これまでとは違う工務店、店舗デザイナーに依頼することにしました。そこで人伝で建築デザインを手掛ける、あるコンサルタントを紹介されました。そのコンサルタントは有名な病院のロゴマークをデザインしただとか、数多くの店舗の建築デザインを手がけただとかで実績十分とのことでした。実際、その経営者は、そのコンサルタントがデザインした物件を見て回ったのですが、まあまあ良いデザインで、建築コストを抑えることを念頭に工務店とも交渉窓口になってくれるというのでコンサルタント契約を交わしました。
最初のうちはあれこれ相談にも乗ってくれて、この経営者の方のイメージが形になっていくようにデザインが少しづつ進んでいきました。しかしそれからしばらくして、この経営者が連絡をしても返信がなくなってしまったのです。何度も連絡しているにもかかわらず音信不通になってしまいました。そのコンサルタントの事務所に行っても不在。これには困ってしまったこの経営者の方、判断が速かった。契約したことはしたのですが、実はまだお金を支払っていなかったのです。契約した時点で「ちょっと胡散臭いかな」とは瞬間的には感じたのですが「やっぱり」ということになって、結局、1店舗目を造ってもらった工務店に再度依頼をすることにしました。この偽コンサルタントには多少時間を取られたものの、あれこれしているうちに時間の無駄だなと悟ってさっさと乗り換えたということです。あのままズルズル契約を伸ばしていたら、店舗の開店は遅れ多大な損失をこうむっていたかもしれません。
ところで、なぜこの偽コンサルタントは連絡を絶ってしまったのか。後から聞いた話では、この経営者と契約したそのすぐ後に、大口の契約が舞い込んで、どうやらそちらを優先してしまったらしいのです。大口だったため、とてもこの経営者のコンサルティングまで手が回らず、ほったらかしになったということです。
しかし、こんなことがあってもいいものでしょうか。デザイン料を支払っていなかったとはいえ契約しているのです。こんなコンサルタントがいるから、世の中のまともなコンサルタントが迷惑するのです。技術とか能力以前の問題で、人間失格です。このコンサルタントも即退場です。
先週と今週はウソのような本当にあった話でした。こういった偽コンサルタントに騙されないようにしたいものです。騙されないようにするにはどうすればいいか。そうです、自分で確かめることです。セミナー、個別相談でコンサルティング技術はしっかりしているか、能力は高いか、人間性は大丈夫か、よく見極めてください。そして何より大切なことは、自社にマッチしたコンテンツかどうかということです。いくら技術や能力、人間性が良くても自社のニーズにマッチしていなければ役に立ちません。
このご時世、自社を何とかしたい、コンサルタントを使って現状から抜け出したい、そう思うのはやまやまですが、ちょっと待ってください。よく考えて、よく調べて判断してください。しかしそれ以上に、コンサルタントは契約に慎重であるべきです。自分のコンサルティングが、クライアントにとって本当に役に立つのか、コンサルタント側が注意しなければなりません。受注が欲しいばっかりに無理に契約してはいけないということです。
今回の経営者の方は大怪我をせずに済みましたが、世の中にはこういうコンサルタントがいるのです。皆さんはこんな偽コンサルタントに引っ掛からないようにご用心ください。