第67話 洗剤とコンサルタントの選び方
皆さんはお風呂掃除をしたことがありますか?男性の経営者の方はしたことがないという方が多いのではないでしょうか。もしかしたら若い時代に一人暮らしをして、お風呂掃除をしたことがあるかもしれません。女性で主婦の方でしたら毎日するという方もいらっしゃるでしょうが、そういう方にとって何が大変かと言えば、浴室の汚れがなかなか落ちないということだと思います。洗剤を使ってゴシゴシやってもなかなか落ちない、多少きれいになっても最後まで落ちていない。特に、浴室のパッキンやコーキング部分に入り込んだカビは、もうほとんど不可能に近いくらい落ちません。あきらめている方もいらっしゃるでしょうね。
ところがこの汚れ、落ちない理由があります。原因は洗剤です。家に帰ったら洗剤の性質を確認してください。アルカリ性になっていますか?それとも酸性ですか?浴室の汚れである水垢はアルカリ性、湯垢は酸性です(アルカリ性のものもあります)。そうです、浴室の汚れには水垢と湯垢があるのです。そしてそれぞれ性質が反対なのです。浴室の汚れを取ろうとアルカリ性の洗剤を使ってゴシゴシこすっても水垢は落ちません。またその反対もしかり。
汚れと言えば浴室だけでなく、キッチンやトイレ、リビングなど生活空間では付いて回ります。そしてそれぞれ汚れの性質が異なっていて、汚れを落とす方法もそれぞれです。もちろん洗剤も異なります。家庭用洗剤で代表的なものは食器用洗剤でしょう。これは中性が多いのですが、なぜ中性なのか。やはり取り扱いがしやすいということです。肌に優しいということです。他にもいろいろありますが、どの洗剤でも家庭用ですから、酸性やアルカリ性に傾くほど取り扱いに注意が必要で「混ぜるな」とか「換気」とか「マスク・手袋」といった注意書きがあります。大切なのは汚れの性質に合わせて洗剤を選ぶということですね。
なぜこんな話をするかと言えば、当社の取引先の社長がこんな話をしてくれたのです。それは、この社長が自宅の風呂掃除をする羽目になり、風呂場にあった洗剤でゴシゴシ汚れを落としてみたものの、なかなか落ちなかったとのことです。なぜ落ちないか色々調べてみたところ、前記のように汚れの種類によって洗剤を変える必要があるということが分かったのです。そこから「先生、洗剤を選ぶのと同じでコンサルタントも選ばないといかんですね」という話が発端となったわけです。
汚れをクライアント、洗剤をコンサルタントに置き換えるには若干抵抗がありますが、あえてしてみます。生活空間の汚れのように、クライアントのニーズは多岐にわたります。したがって、そのニーズにマッチしたコンサルタントが必要なのですが、現実はワンストップだとか総合的だとかといったことで「何でも屋コンサルタント」が幅を利かせています。クライアント側からすれば、信頼のおけるコンサルタントに何でも相談できて便利だし、自社のことをよく理解しているからなどという理由で、役に立たないコンサルタントに高額の相談料を支払っています。コンサルタント側からすれば、月に1~2回相談相手になり、解決策も出せないまま安住の地として居座り続けます。お互いにとって居心地のいい関係だからです。そしてできるだけ長く契約を伸ばすことを考えます。これで本当にコンサルティングができるでしょうか?儲かるしくみをクライアントに導入できるでしょうか?
こういったクライアントのニーズを満たす場合は、尖った特徴を持つダイナミックコンサルタントが必要です。クライアントのニーズとコンサルタントがマッチするかという問題点はありますが、セミナー、個別相談などでミスマッチを防ぎます。そしてうまくマッチングできれば想像以上の成果が期待できます。しかもコンサルティングはプロジェクト型で、いつまでもクライアントにへばりつくようなことはないので安心です。
その汚れに適した洗剤が必要なように、コンサルティングにはクライアントのニーズにマッチしたダイナミックコンサルタントが必要です。中性洗剤のように特徴のない、扱いやすい洗剤では本当の汚れは落ちません。本当の自社のニーズは何か、問題を解決するにはどんなコンサルティングが必要か、そのことが理解できれば後はコンサルタントを見つけるだけです。ただ、マッチしないコンサルタントを選んでしまうとお互い不幸な結果になりかねません。この点はコンサルタント側でも注意していますが、クライアント側でよく吟味することをお勧めします。そして決して「何でも屋コンサルタント」に長居をされないようにご注意ください。