第139話 集客できても契約できない住宅会社は何を改善するべきか
「細井先生、うちは集客はできるんです」
「でも、なかなか契約ができずに困っています」
「どこがいけないのかアドバイスしてもらえないでしょうか」
先日、当社のセミナーにお越しになった、中国地方に拠点を置く中小住宅会社社長の言葉です。当社では、セミナー終了後1社に限って無料個別相談を30分間承っており、そこでこの社長は悩みをお話になりました。
この会社、新聞折り込みチラシで集客しています。定期的にイベントを行い、毎回10組程度集客できています。
ところがです。なかなか契約が取れません。取れたとしても何回かに1回、ほんのわずかです。住宅そのものは特徴があり、高級住宅です。こんな家に住んでみたいなと思わせるような住宅であるにもかかわらず、多くの見込み客が同業他社に流れます。
社長の話を聞いて大体想像はできたものの、現場を見なければ確信が持てませんので、後日、実際の住宅を見せていただきました。そしたら案の定です。案の定というのは、素晴らしい住宅なのに、その素晴らしさが表現できていないということです。
例えば、住宅の材質の良さ、設備のグレード、間取りなど、とてもいい空間を演出できているにもかかわらず、それを価値として変換できていないのです。
「なにが足らないのでしょう?」社長に問いかけても「う~ん」とうなるばかりです。
当社としては、個別相談として現地視察に来ていますので、ここでコンサルティングをするわけにはいきません。したがって、その場ではヒントを申し上げるにとどまりました。
そのヒントとは、「自社が提供する住宅の強みや特徴は何か」。そして「それを見込み客に伝える方法は何があるのか」を考えるよう提案しておきました。
世の中には「もったいないショールーム」が非常にたくさんあります。また「いいモノを作っても売れない」ということがあちこちで頻繁に起きています。この会社のモデルハウスもその1つです。
そもそもショールームに集客できていない会社が多い中、この会社は集客はできているのです。それなのに契約できないということは、問題はいろいろあるにしても、ボトルネックはセールス個人のスキルと、それを補完するしくみのなさであることに気が付きます。
この会社が開催するイベントでは、いわゆる「飲み食い・景品」の類は一切ありません。また、見かけ上の安値のチラシを作っているわけでもありません。
ということは、本物の見込み客を集客できているということです。少なくとも、この会社が提供する住宅に興味のある見込み客であることに間違いはありません。
端的に言ってしまえば、あとは契約のスキルです。もちろん見込み客開拓から契約までの導線と、それぞれの活動の中で行う仕掛けも見直さなければなりません。また、アフター営業でファンにしていく活動も必要です。
しかしこの住宅会社の場合、契約のスキルというボトルネックを外すだけでかなり改善できると踏みました。ご本人たちは気が付いていませんが、いいモノを持っています。それに気づいてもらうこともコンサルタントの役割です。