第127話 始めるときは誰もが初心者

「物事を始めるのに遅すぎることはない」とは、各界の成功者が同音異句に語る言葉です。カーネル・サンダース、安藤百福、レイロックなどなど。彼らは若いころサラリーマンだったり、転職を繰り返したり、事業をとっかえひっかえしたり、なかなか苦労人だったようです。しかし、強い信念があってあきらめなかったということです。

 年齢を重ねても年をとっても、今が一番若いのだからとチャレンジする精神を持ち続けていました。そしてついに成功しました。成功の要因は、何か才能があったとか特別な能力があったというわけではありません。

 ただ一つ、あきらめないという特技があったと言えます。チャレンジし続けることができる能力があったと言えます。この点で言えば、ほかの人にはない能力があったと言えますが・・・。

「細井先生、この年齢で新しい販売方法にチャレンジして失敗したら、立ち直れないかもしれません」「だから、なかなか一歩が踏み出せないんです」

 個別相談にお越しになったF社の社長はこうおっしゃって、コンサルティングに入るのを躊躇しています。

「社長、無理にお勧めはしませんが、現状では、どう見てもこれから発展する余地はないですよ」「既存製品を既存客に販売しているだけのビジネスですから、少しづつ小さくなっていきますよ」

 事実、この会社の売り上げは毎年少しづつ減少しています。新製品があるわけでもなく、新規見込み客を開拓するわけでもなく、新しい販売ルートを開拓するわけでもなく、ただ何となくじっとしている感じです。

 それでも今までこうやってやってこられたのは、社長の誠実な人柄が会社に現れていて、古くからの固定客が離れずにいるからです。

 しかし、いつまでもこのままというわけにはいきません。第二創業の時期に来ています。ここから二段ロケットのように再度噴射して上昇できるか、燃料が少しづつ切れて終いには急降下するかの分かれ道です。

幸い、後継者はいます。その後継者にバトンタッチして事業を任せることも考えられますが、まだまだ社長の力が必要です。

「社長、始めるときは誰もが初心者です。最初からベテランじゃないんです」「物事を始めるのに遅すぎることはないです」 こう話して個別相談を終えました。

 大企業でも、創業当時は零細企業だったはずです。そこからチャレンジを重ねて大企業になりました。

 冒頭の偉大な方たちは、早くから成功した方ではありません。結構、年を取ってから成功した方たちです。チャレンジをやめなかったことで成功しました。

 「もうのんびり暮らしたい」というならそれもいいでしょう。否定するつもりは全くありません。しかし、最期を迎えたときに何となく「これでよかったのか」と少しでも思うようなら、今、もう少し頑張るべきです。

 当社は、そういう経営者の方を応援します。

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