第126話 「ビッグサイト型営業法」と「ショールーム型営業法」の違い

 まん延防止措置の中、東京ビッグサイトでは大規模展示会が開催されています。入場者は例年の半分以下にとどまっているイベントもあり、来場者にとってはじっくりゆったり見られるメリットがある反面、出展者にとってはビジネスにつながる商談がしにくくなっています。

 事実、出店を取りやめたり、オンライン出店に切り替えたりする出展者も見られます。しかし、リアルの会場で直接展示品を確認したり出品者と商談するというのは、ほかの方法では得られない情報が得られますので、来場者も出品者もお互いに大きなチャンスが転がっていると言えるでしょう。

 さて、その展示会場をくまなく回り出展者と来場者の動きを観察すると、賑わいのあるブースとそうでないブースの違いがはっきり見えてきます。そして、賑わいのあるブースにはその共通点があり、そうでないブースにはやはりその共通点があります。

 賑わいのあるブースは出展者の熱を感じます。例えば、ブースの前の通路まで出て見込み客を捕まえようとしています。チラシやカタログを手渡したり、声を上げて自社製品のPRをしています。それにこたえるように来場者も熱心に説明を聞いています。

 一方、賑わいのないブースは、出品者が奥に引っ込んでいたり、座ってパソコンで何か作業をしていたります。見込み客が展示品をじっくり見ていれば声を掛けますが、そうでなければ知らん顔です。そんなことでは商売にならないはずですが・・・。

 それなのになぜ、高い出展料と人件費、宿泊交通費をかけてわざわざ出店するのでしょう?

「東京ビッグサイトなら、自社の見込み客が寄ってきてくれる」「出店すれば知名度が高まり、販売しやすくなる」「大手には相手にされないので、中小でもいいからなるべく多くのバイヤーの目に触れるようにしたい」

 出展者にこのような思惑や願望があるのは間違いないでしょう。当然です。日本一のマンモス展示会場で、知名度は抜群。全国から来場者がやってきます。したがって、出展すれば何か結果は得られると思っていても不思議ではないです。

 しかし、もう一つ理由があります。実は「ショールーム型営業法」を知らないという理由です。

「ビッグサイト型営業法」と「ショールーム型営業法」は対極の営業方法です。

「ビッグサイト型営業法」とは、前述した通り、大規模展示会にコストをかけて出展し、全国の来場者にPRする方法です。全国的に知名度を上げたい、消費者に直接PRしたいなどの場合に有効です。

 しかし、この方法には問題点もあります。それは、費用対効果の面です。特に、効果が見えにくい点にあります。また、展示会場で大勢の中から瞬間的に、自社の見込み客を探し出す技術が必要です。

 一方「ショールーム型営業法」は、普段の営業を行いながら地道に販売ルートを開拓する方法です。費用をかけずに確実に新規見込み客を開拓したい場合に有効です。主に、中小企業でB2Bの取引形態に向いたやり方ですが、大企業の試験的な販売やB2Ⅽの取引形態にも応用できる方法です。

 この営業方法にはショールームが必要ですが、「ハコ」「モノ」である必要はありません。見せて商談する場所であればどこでもショールームになるからです。

 加えてこれには、導線を作ってショールームに誘引することと、それぞれの段階で仕掛けが必要です。言い替えれば「売れるしくみ」が必要です。そして、これを構築するには少々時間がかかります。 しかし、いったん構築してしまえば、半自動的に売れていくしくみです。

「ビッグサイト型営業法」と「ショールーム型営業法」。どちらがあなたの会社に適しているかよく考えてください。結論から言えば、どちらも「アリ」です。しかし、中小企業であれば「ショールーム型営業法」の方が適合する確率は高いです。

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