第120話 ものづくりの会社が持っているべき営業ツール

 世の中には様々な業種・業態の会社が存在していて、近年では製造業、卸売業、小売業、サービス業、建設業・・・などと単純に分類できなくなってきました。業種で言えば、大分類、中分類、小分類とあって、どこかに無理やり分類してしまう場合もあるようです。

 しかしまあ、あまり細かく分類するのは意味がありませんので、ショールームの形態を決める場合は大分類のどこに属しているかを参考に決めていくことが多いわけです。その業種の中で、今回は製造業についてお話しします。

 製造業と言っても、取引形態によって大きく二つに分かれます。一つは、部品メーカーや素材メーカー、OEMメーカーなど、完成品メーカーや組み立てメーカーと取引をし、その取引先の影響を受ける会社。

 もう一つは、食品メーカーや自動車メーカー、家電メーカーなど、取引は卸売り会社や小売り会社と行うものの消費者の影響を受けやすい会社です。

 その製造業には、大きく分けて、モノを作る製造部門と作ったモノを販売する営業部門があります。中には営業部門を持たない会社もありますが、自社で作った製品を販売するためには営業部門は必須とも言っていいでしょう。そして、特に消費者の影響を受けやすい会社の営業部門はショールームを必ず持っていなければなりません。その形態は「ハコ」「モノ」です。

「ハコ」とは、建築用語でいう「建物」のことで、「モノ」とは製品のことを指します。したがって、建物の中に自社製品を展示する、いわゆる街で見かける普通のショールームのことをいいます。

 このように話すと必ず「普通じゃないショールームがあるのか?」とお聞きになる方がいらっしゃいますが、ここで言う「普通」とは、たいてい皆さんがイメージしていらっしゃるショールームだということです。

 特に消費者の影響を受けやすい製造業の場合、その普通のショールームが必須です。営業社員は、このショールームがあるがゆえに、ある意味「楽な営業」ができます。なぜなら、製品の魅力や使うメリットなどはショールームが語ってくれるからです。

 もちろん、ショールーム自体が語るわけではありませんので、そこにはアドバイザーが必要です。しかも、驚きと感動を共有できるような製品説明ができることが必要です。また、ショールームへ顧客を誘引する導線などのしくみや、様々な仕掛けが必要だということはお分かりでしょう。

 しかし、そのしくみの中で中心的なツールはショールームです。このツールがなければ、営業社員は大変な苦労を強いられます。

「細井先生、先生のアドバイス通りのショールームを作って大正解でした。導線も同時に作ったので、リニューアル前と比べると来館客は減りましたが売り上げは断然増えました。営業マンが営業に専念できたのも大きいです」

 消費財メーカーのⅭ社の社長はこのように言います。これまでは、ショールームはあったものの使い方が下手で、来館者数が売上と比例していない会社でした。

 しかし、ショールームを含めていろいろなツールや仕掛け、しくみを作り直した結果、このところようやく結果が出始めました。社員に特別な教育をしたわけでもなく、優秀なショールームアドバイザーを採用したわけでもなく、今いる社員と今ある設備で結果を出しました。ショールームだけは少しだけ手を加えてリニューアルしました。展示品が多すぎたのとコンセプトを感じなかったからです。

 ショールームは、営業社員にとっては強い武器として使える営業ツールです。しかし、武器になるか邪魔者扱いにされるかは使い方次第です。武器になればこんな心強い味方はありません。その武器をうまく使えるようにしくみ作りすることが、経営者であるあなたの仕事です。

 あなたは営業社員に、心強い武器を持たせていますか?

 

 

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