第112話 上り坂で車を押しているのに似ている
あることに集中して取り組んでいると、どれだけ困難なことでも少しづつ前に進むことができます。自分にはとても無理だなと思っていても、やらざるを得ない状況になってイザ始めてみると「お!何となく前に進んでいるな」というのが実感できることがあります。
これは、上り坂で車を押しているのと似ています。車が動いているため、急な上り坂であってもなんとか少しづつ上っていけるイメージです。
ところが、これとは反対に、緩い上り坂でもいったん止まってしまうと動きだせなくなって、車が下がらないようにするのに精いっぱいになってしまいます。少しでも力を緩めたら、今度は下り坂が待っています。ズルズルと、悪くすれば一気に元に戻って今までの苦労は水の泡です。
「社長、前々回の宿題はできましたか?この調子だと次のステップに進めませんよ」
「先生、ちょっと待っててください。今、やっている最中なんですが、何分忙しくて・・・」
当社のコンサルティングを受けられているH社の社長です。
「社長、前回も同じことをおっしゃっていましたよ。今回もですか?このままでは挫折ですね」
「先生、待ってください。ちゃんとやりますから」
H社の社長は、当社のホームページをご覧になり共感を受けたとのことで、意気込んでセミナーにお越しになりました。そして、ますます気に入っていただけたようでコンサルティングを受けられることになりました。
「社長!初めに申し上げましたよ。コンサルティングは勢いだけで受けていただくと挫折することがある。特別な能力や難しい技術は必要ないですが、内容は濃いし宿題も毎回出ますよ。ここだけは注意してくださいと」
「いや~、今やってるんですけど、なかなかうまくいかなくて。次回はきちんとやっておきますから」
こうなると、もう前に進みません。やれない理由を一生懸命話してくれるようでは。しかし、何とか成功に導かねばなりません。
例えば、皆さんがショールームに顧客を集客しようとします。ショールームは、集客することで回っていると言えますが、購買の権限を持っていない人や購入の意思のない人を集客しても意味がありません。
そこで「本物の見込み客を集客してください」と宿題を出すと、途端に「先生、無理です、そんなの」ということになります。これまでは、本物であろうとニセモノであろうと、ショールームに人がいればそれでよかったのですから、あの手この手で集客しようとします。
例えば、来場者には粗品プレゼント、見積もりや成約をしてもらった顧客には豪華景品プレゼントなど。そして、営業方法は、頭を思いきり下げて「お願いします」。こんな集客を長い間続けてきたのですから、「無理です」と言われるのは当然です。これまで「本物以外」を集客してきたツケです。
しかし、苦しくても、しんどくても、すぐに結果が出なくても、少しづつ坂道を上っていれば、何とか目標に到達できます。途中で立ち止まらなければ・・・。そして、坂道でいろいろな経験をして、自社にベストな方法を見つけるのです。立ち止まったり、やめてしまわなければ必ず到達できます。時間はかかったとしても。
「三日坊主」という言葉があります。ちょっとかじってはやめ、また次にいいと思ったことを始める。これではいつまでたっても目標に到達できません。「ショールーム営業」を信じて取り組めば、必ずあなたの願いは叶えられます。そして、つらくとも、苦しくとも、少しずつ、慌てず休まず上り坂を上るのです。
三日坊主でいつも挫折するか、一途にショールーム営業を信じて成功するか、あなたはどちらを選びますか?