第108話 豪華景品チラシの悪循環を断て!

 ショールームイベントや展示会に集客するとき、あなたの会社ではどのような方法で集客していますか?B2Bの取引形態の企業であればルートセールスになりますから、顧客の事務所に訪問して商談とセットで案内します。また、重要なイベントであれば、それだけのために訪問して案内するでしょう。B2Cの取引形態の企業場合、派手なチラシを作って新聞折込などで撒き、大衆の中から自社の見込み客を探し出すようなやり方をするでしょう。

 そのやり方はそれぞれで結構なのですが、これまでのやり方には中身が伴っていないと当社では考えています。どういうことかと言うと「本当に自社製品に興味があり、自身の五感で確かめたうえで購買・購入をしようと考えている顧客、すなわち本物の見込み客を集められていない」ということです。

 本来は、ショールームや展示会に顧客を呼んで「商談」しなければなりません。そうでなければ売り上げが上がることはないからです。しかし多くは、集客することがイベントの目的になってしまい、人を多く集めるにはどうすればよいかを考えています。集客方法はバス動員で、その集客のためには、飲み食い、景品、アトラクション、観光、お土産などのお楽しみが必要です。

 これは高度成長期および、バブル期の名残です。何しろフローよりストックの時代でしたので、モノを持っている者が勝ちです。それくらい売れたということです。したがって、イベントに人を集めればモノは売れました。そのやり方を今も、延々と続けているのです。

 イベントに集客した顧客は、最終的にはファンに育てなければなりません。五感で良さを感じてもらって購買・購入してもらい、そこからリピーター、そしてファンに育てるわけです。「顧客→見込み客→本物の見込み客→リピーター→ファン」という具合に育てていきます。

 しかし一般的には、先ほどご説明した通り、顧客を大勢集めてお祭り騒ぎをして、その中からほんのごく一部を取り込むやり方をしています。そしてそれを繰り返しています。そのため、多くのコストがかかっています。しかし、そのコストは、顧客が平均的に負担していると言えます。顧客はそのコストを、購買・購入する自身が負担していることに気が付いていません。

 「細井先生、うちは新聞折り込みの広告を定期的に入れているんですけど、反応率が悪いんです」「だから、どうしても景品が豪華になってしまって、その分、製品価格や工事代に上乗せしなきゃいけないんです」「何とかこの悪循環を断ち切れないでしょうか?」

 住宅リフォーム店を営むN社は、大量に新聞折り込みを入れて、自社の顧客を見つける方法を長年続けてきました。しかし近年では、大手家電量販店やホームセンターが住宅リフォーム事業に参入し、競争は激化しています。当然、受注合戦になり、それに従ってチラシの景品も豪華にせざるを得ず、利益率が下がってきます。しかし、それを製品や工事代で賄わなければなりません。仕入れコストや人件費を抑えるにも限界がありますので、かなりギリギリの状態です。

 そこで、当社にご相談にお越しになったのですが、この悪循環を断ち切るのはなかなか面倒な作業が必要です。何と言っても、N社には営業力というものがありません。豪華景品をエサに新聞折込のチラシで集客していたのですから、「うちには営業力はありません」と公表していたのも同然です。

 しかし救いは、OB顧客の名簿リストをきちんと管理していたことです。N社がリフォーム工事を手掛けて20年以上たっている現場も数多くあります。そのOB顧客の名簿が命綱です。新聞折込をやめるわけではありませんが、徐々に、OB顧客訪問に営業の軸足を移していくことになりました。

 この営業方法には、営業力と組織力としくみが必要です。それらを簡単に強化できたり、構築できるものではありません。だから、当社にご相談にお越しになったとも言えますが、何はともあれ、社長はじめ社員の意識改革が必要です。なぜなら、これまでのN社は、エサを撒いておけば顧客は向こうからやってくるものだと思い込んでいるからです。イベントを開催すれば大勢顧客はやってきて、その中から契約してくれる顧客もいるものだと思い込んでいます。

 この方たちに、顧客の一本釣りの方法を教えなければなりません。OB顧客は十分にあるのですから、後は自社の問題です。先ずは、このことを社長に分かってもらってからコンサルティングの開始となります。