第104話 逝く命と生まれる命
命は永遠ではありません。ですから、生きているうちに思う存分やりたいことをやる、悔いのないように精いっぱい仕事をする。そうはわかっていても、現状に流されがちな日々が続きます。年を取ると、死ぬのは怖いし「死んだらどうなるんだろう」と思うようになるそうです。
「細井先生、年齢を重ねると、体のあちこちが悪くなって若いころのように動けなくなるので、最近は『年は取りたくないなあ』と、しみじみ思うようになりました」
「今年は、ほら、うちの親父や家内の両親を亡くしたじゃないですか」「1年のうちに3人も身内を亡くすなんて、今年はどうかしてますよ」
S社の社長はこう言います。しかし続けて、こうも話してくれました。
「実は最近、初孫が生まれたんですよ。男の子です」
逝く命もあれば、生まれる命もあります。人生は、どれだけ長く生きたかということより、何をやってきたかのほうが大切だといいます。しかしながら、やはり健康で長生きしたいものです。
「将来はこの会社を継いでくれたらいいんですが。それまで私も長生きしてがんばらねば」
この社長は、孫の成長が楽しみです。そして、S社を立派な会社にして、息子から孫に継がせることを決意しています。いずれ自分も逝く時が来ますが、それまでは精いっぱい仕事をして、足跡を残せるようにしたいと考えています。
「今年は変化の多い年です。来年に向けて準備の年ですね」「ショールームもリニューアルの最中ですし、チームで営業できるようにすれば、絶対うまくいくと思います」
この社長は、会社の新たな成長に向けて取り組みを開始しました。「ショールーム営業」というノウハウにも投資しています。それが来年には花開き、実を結ぶと信じています。チャレンジする勇気と覚悟。初孫が生まれて、ますます意気盛んです。