第103話 ノウハウへ投資することで、あなたの会社は飛躍する
ある眼鏡屋さんとの会話です。
「細井さんはコンサルタントだから、今、補助金の申請で忙しいでしょう?」「うらやましいですね。うちもそうですが、隣の居酒屋さんなんかは客足がぱったり消えて、四苦八苦しています」
「いや~、そうでもないんです。コンサルタントといっても、補助金とはちょっと関係ない仕事で・・・・」
世の中は、固定観念の塊みたいなものです。この眼鏡屋さんが悪いわけではなく、コンサルタントといえば補助金の申請とか何かの下請けをする仕事だと、一般的なイメージが定着してしまっているということです。その一般的な固定観念で、眼鏡の商談が進んでいます。
「コンサルタントだから、こんな眼鏡はいかがでしょう?よくお似合いですよ」「そんな、サラリーマンじゃないんだから、もっと個性的な眼鏡を掛けなくちゃ!」「こんなのはどうです?」
この眼鏡屋さんには、コンサルタントのイメージが完全に確定していて、こうあるべきものだという自分のイメージで製品を勧めてきます。これは眼鏡屋さんとの会話なので、それ以上のことはないのですが、これが当社にご相談にお越しになった方だったり、クライアントとなるとちょっと厄介です。なぜならば、ショールームを「ハコ」「モノ」と、かたくなにイメージしている経営者の方が多く、当社の説明を理解していただけないケースがあるからです。
ちなみに「ハコ」とは、建築用語でいうところの建物のことです。「モノ」とは、製品のことです。したがってハコモノとは、建物の中に製品を押し込むという、従来のショールームのことです。そして、そのイメージをなかなか変えてもらえないのです。
そうすると、例えば、自社の業種が卸売りであるにもかかわらず「先生、うちはどんなショールームを作ったらいいでしょう?」「他社と差別化するには、なるべく豪華なほうがいいでしょうか?」ということになります。
こういう経営者の方のイメージを変えるには、なかなか骨が折れます。そして、このイメージを変えない限りは、実際のコンサルティングに入れません。なぜなら、その会社に最適な形態のショールームにならず、儲かるようにならないからです。
ショールームというのは、経営者の方にとってある種の憧れのようなものです。資金力のある会社の経営者であれば、とりあえずショールームを作ってみようという考えになっても仕方ありません。しかし、そのような憧れで作ってしまうと、後々、ショールームが厄介者になることは間違いありません。憧れで作ったショールームは、結局、使えずに放置されてしまうからです。
「ウチはそんなことない、ちゃんと使うから大丈夫!」などといいながら、ハコモノの立派なショールームを作って、数年後に「閉鎖」という事例を嫌というほど見てきました。こうならないためにも、まずは、ショールームに対するイメージを変えていただくことにしています。
念のため申し上げておきますが、ハコモノのショールームがいけないと言っているわけではありません。それが、自社の業種・取引形態にあっていれば何も問題はありません。ただし、それだけではうまくいきません。ショールームという営業戦略を、組織が支えることができるかということも重要です。憧れでショールームを作る方は、この営業戦略に従う組織の構築を忘れています。
ショールームは経営者の方にとって憧れです。自分も、あんな立派なショールームを作ってみたいと思う方はかなり多いです。しかし、ショールームだけでは、売り上げも利益も上がりません。そこには、ショールームを回す様々なしくみが必要です。そのしくみを作ることは、非常に多くの時間と経験が必要で、一長一短に身につくものではありませんし、本当に身につくかどうかも分かりません。
もしあなたが、ショールームを活気あるものにして、今よりもっと売り上げを上げたいと願っているならば、ノウハウに投資をすべきです。従来のショールームのイメージさえ変えられないのだから、儲かるショールームを作ることは、夢のまた夢です。