第89話 仏壇ビジネス

 皆さんは仏壇を購入したことがありますか?仏壇を購入するということは、身内の方が亡くなったということが考えられます。もしそうだとしても、すでに家に仏壇があるという方は買うことはないでしょうから、一生のうちに一度あるかないか、多分一度もないという方のほうが多いのではないでしょうか。先回「お坊さんビジネス」でご紹介した経営者の方、話の続きがあります。

「細井先生、お坊さんを呼ぶときに何かおかしいと話したけど、仏壇も何か変な買い物ですね」

 どういうことかというと、一生に一度買うかどうかという製品で、価格が数十万円から数百万円、高いものだと一千万円もするにもかかわらず、消費者側に知識がほとんどないということです。家の中を見渡してください。数百万円もする家具があるでしょうか。たぶん家具や家電を含めて最も高価な製品のはずです。

 その仏壇を知識もなく、品質も良く分からず「ポン」と買うことが「何か変」だというのです。生前に準備しておくという方もいらっしゃるでしょうが、そういう方は稀です。縁起の問題があるからです。そうなると、人が亡くなって何かと忙しい中、よくわからないまま数百万円の買い物をするということになります。

 ところでその仏壇はどこで買うかご存じですか?そうです、仏壇屋さんです。その仏壇屋さんは信用できるお店ですか?何しろ一生に一度あるかないかの買い物ですので、それまでに買い物の経験がありません。製品の知識や見る目がないのだから仏壇屋さんを信じる以外ありません。

 本当に価格に見合った品質なのか、何かトラブルになった時に対処してくれるか、修理の技術はどうかなど、知っておかなければならないことがたくさんあります。何しろ自分の世代だけではなく、後々の世代までお付き合いすることになるからです。

 こういったこと全てが関係してくるにもかかわらず、時間がない中「ポン」と数百万円の買い物をしなければならないということが「変」だということです。

 実は、コンサルティングも同じようなことが言えます。これまでに一度も会ったことがないコンサルタントに数百万円を払う方がいます。大手コンサルファーム所属のコンサルタントだからと言って簡単に信用してしまいます。コンサルタントの力量も分からず契約してしまいます。

 本当に信頼できるコンサルタントが、最後まで一貫性をもってコンサルティングしてくれるのか?途中で担当者が変わるということがないか。価格に見合ったコンサルティングなのか。そういったことがよくわからないまま契約する方がいます。このあたりは「お坊さん」や「仏壇」とよく似ています。

「先生、時間がなかったからよくわからないまま仏壇買っちゃいましたけど、本当に良かったんですかね」

「まあ、そうゆうもんだと思ってしまえばいいんでしょうけど、普通のビジネスじゃあ考えられませんね」

 今後、長年付き合っていく仏壇だけに、納得のいくものを買いたかったけど、どうなのかという、何とも表現のしにくいニュアンスがこの言葉には含まれています。加えて、こんなビジネスがいつまでも続くはずがないという意味も含まれています。

 事実、仏壇販売店をはじめ職人も、バブル経済の時と比べてずいぶん減少しています。有名大型仏壇販売店が店を閉めたというニュースも聞きます。考えてみれば核家族化が進み、家は狭く、仏壇のない家も多いはずです。買いたくても置く場所がないという家が多いのでしょう。

 仏壇に手を合わせることにより先祖を敬い、そうすることで心の安寧を得られるとしても、経済的に生産性のあるものではありません。「邪魔になる」といって捨ててしまう方もいます。仏壇であっても経済活動や住空間に左右される運命にあります。一言で言ってしまえば「生活必需品ではない」ということです。

 コンサルティングはどうでしょう。ビジネス上必需品ではありません。必需品ではないサービスを売るわけですから、よくわからないコンサルティングではダメです。本、メルマガ、コラム、ホームぺージ、セミナーなどを通じて自社に本当に必要なサービスかどうか判断してもらわなければなりません。

 そのためそのサービスが、内容、実施期間、料金、効果など、見えるようになっていなければなりません。その上で個別面談を経て契約するという念の入れ方をしています。したがって当社においては、これまでにご契約いただいたクライアントの方は、程度の差こそあれほぼ100%成果が出ています。

「先生にコンサルティングを依頼したときは、丁寧に説明してくれて納得して契約できたので満足しています」

「おかげで成果も出てきたので感謝しています!」

 コンサルタントは商売ですから、サービスに見合った料金をいただくのは大切ですが、実は、このような感謝の言葉をいただくのが一番うれしいものです。なぜなら、たくさんいるコンサルタントの中から当社を選び、一生懸命に取り組んでいる姿を見ると、何かしたいという気持ちが湧き上がってくるからです。ただしその前提として、透明感のあるコンサルティングでなければならないと当社は考えています。

 

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