第66話 悔しい思いをバネに変える

 皆さんは悔しい思いをしたことがありますか?人間生きていれば大なり小なり悔しい思いをするでしょう。ちょっとした悔しさなら気分転換すれば忘れてしまうでしょうし、多少引きずることはあっても時間がたてば、そういえばそんなこともあったなで済んでしまいます。

 しかし、皆さんのように経営者となれば、ビジネス上で受ける悔しさの度合いは一般の人から比べれば桁違いに大きいでしょう。会社の存続にかかわること、経営者としてのプライドにかかわることなど、想像を絶するほどの衝撃に見舞われることもあるはずです。近頃知人から、ある外食コンサルタントのこんな話を聞きました。どんな話かというと・・・。

 数年前のことです。この外食コンサルタントのもとへ、コンサルティングを受けたいと思っているので個別に相談を受けてもらえないかというオファーがありました。クライアントは洋食レストランを家族経営している方です。若いころから一生懸命働き、そのかいあって自分の店を持つまでになりました。結婚し、子供も生まれ、長い間奥さんと2人で小さな店を切り盛りしているうちに子供が店を手伝ってくれるようになりました。店は忙しくうれしい悲鳴です。

 しかし、忙しすぎて将来を考える余裕がありません。休みの日は普段の疲れをいやすのが精いっぱいで、頭が働きません。このままでは自分たちは年を取っていくばかりで将来が見通せません。子供は店を手伝ってくれていますが、本当に事業承継するかはわかりません。

 そこでこのコンサルタント、個別相談ではまず、コンサルティングをすることより定期的に家族で話し合う時間を作ることを提案しました。なぜなら自分たちの将来が見えてこない、事業承継のことも決められていない状況で、売り上げを伸ばすことだとか新メニューを開発することだとかのコンサルティングは次の段階と考えたからです。

 個別相談が終わってクライアントもとりあえず納得して、さあ次はコンサルティング受注だと思ってオファーを待っていても一向に連絡がありません。しびれを切らしてコンサルタントの方から連絡をしてみると、家族のことに首を突っ込んでもらいたくない、何か人間的に信用できない、コンサルタントなんて役に立つのかわからない、だからコンサルティングはいらない、という返事でした。

 これにはこの外食コンサルタント愕然。親身になって低価格で個別相談を受けたにもかかわらずこの言いざま。思い返すたびに涙が出るほど悔しい思いがこみ上げてきます。事業を始めてそれほど間もない頃ということもあってコンサルティング受注を期待していましたが、見事に裏切られ、その挙句に侮辱ともとれるような発言。このコンサルタント、しばらく落ち込んだと言います。

 ところがこのコンサルタントの凄いところは、これをバネに飛躍したということです。洋食店の個別相談で自分の悪い点はなかったか、なぜ信用されなかったのか、1つづつ思い返して自分の言動を点検していきました。そしてそれら悪い点を洗い出し言動を見直した結果、今では月に10社以上を掛け持ちする売れっ子のコンサルタントになりました。そのコンサルタントの成功の秘訣は、あの洋食レストランの個別相談での出来事です。事業を始めて間もないとは言え、コンサルタントのプライドを傷つけたあの言葉です。

 普通、人間誰でも自分が正しいと思って行動しています。信念をもって生きている人は特にその思いが強いはずです。ところがその思いが強いほど他人との軋轢を生む可能性も高くなり、生きにくい人生を送ることになります。コンサルタントの場合多くが「人の役に立ちたい」「自分のノウハウを広めて世の中に貢献したい」と思っています。この思いが信念としてなければ、ブレブレのその場限りのコンサルティングになってしまします。お金は大切ですが、コンサルタントはココを最も大切にしています。

 長い人生では悔しい思いをすることもあるでしょう。それが人生を大きく変えることもあります。悔しさをバネに自分の可能性にチャレンジしたこの外食コンサルタントは成功者といえるでしょう。悔しさをただやり過ごすだけではとてもここまで来られなかったはずです。仕事の上で成功も失敗も繰り返しているはずです。成功したときも失敗したときもなぜそうなったのか、冷静になって検証してみることで成功につながりました。分かってはいるもののなかなかできないことです。しかしそれが成功者への近道といえます。

 努力しても報われないことが多いですが、いろいろチャレンジしてみなければ報われる可能性はゼロです。チャレンジして、失敗したとしても検証して、その悔しさをバネに飛躍したいものです。悔しい気持ちが大きければ大きいほど大きなバネになり、大きく飛躍できます。

 あなたはその悔しさをバネにできていますか?