第56話 総合メーカーVS専業メーカー

 「なるほど!こういう提案の方法があったか」

 先日、パナソニックのリビングショールームに行ってきたという方の、驚きに近い納得感のある言葉です。何がそんなに納得したのかというと「さすがパナソニック、ショールームで商品の提案の仕方が違う」というのです。もう少し詳しく聞いてみると、こうです。

 この方、水回り商品が見たくて、先ず、数社の専業メーカーのショールームに行き、時間をかけて商品の品定めをしてきました。代表的な水回り商品と言えば、キッチン、バス、洗面化粧台です(トイレもありますがここでは除きます)。専業メーカーの商品をじっくり見た後、最後にパナソニックのショールームに足を運びました。パナソニックと言えばご存じ、日本を代表する総合大メーカーです。家電は言うに及ばず水回り、照明、通信機器、建材などなど。そして住宅まで造っています。パナソニックブランドで生活の多くの部分がまかなえてしまうようなブランド拡張戦略を展開しています。そして専業メーカーでは到底不可能な「自社製品のみで水回り及びその空間をコーディネートする」提案をしているというわけです。

 一方、専業メーカーは、さすが専業だけあって微に入り細を穿つような商品づくりをしています。使い勝手といい、耐久性といい、丹念に見ていくと細かい気配りがしてあり、製品の完成度としては非常に高いものがあります。ただ、自社製品だけでトータルな空間提案は絶対不可能なため、そのようにしたければ、他社製品を組み合わせるコーディネートが必要ということになります。

 専業メーカーは各社独自戦略を持っていますので、商品開発も特徴があります。価格、材質、耐久性、機能性など非常にわかりやすい特徴を前面に押し出しています。そして、水回り商品の最も重要な「節水とお掃除のしやすさ」という機能が表現できるような商品にしています。また、専業メーカーは専業だけあって、ユーザーの興味や関心が何かということを徹底的に研究し、それを商品開発に活かしているということです。水回りだったら絶対負けないという気合が入った製品・商品づくりをしています。

 総合メーカーと専業メーカー、どちらを選ぶかはユーザー次第と言えますが、こだわりのある使い方、使いこなしができる、個性を大切にする、そういう希望であれば特徴がはっきりした専業メーカーを選択する方がいいでしょう。後々の満足感が違いますし、長く使うための秘訣だからです。1つのブランドでコーディネートし、水回りを「商品のある空間」として見るといった、統一感のある提案ができるのは総合メーカー。商品の作り込みに特徴があるのが専業メーカー。まとめればこんな風に言えるのではないでしょうか。

 それではコンサルタント業界はどうでしょう。総合コンサルティングファームとダイナミックコンサルタント。総合コンサルティングファームは抱えているコンサルタントの数が多いですし、これまで蓄積してきたベストプラクティスの量も膨大です。したがってどんな案件でも大抵はクライアントにマッチさせることができます。しかし、過去の案件と今の目の前の案件は全く同じではありませんし、大体、クライアントである経営者が違っているわけで、案件として似ているというだけです。そのベストプラクティスを使ってコンサルティングするのですから、クライアント側からすれば、大まかな方向性はあっているんだけど何かどこか違う、ということになりかねません。

 一方、ダイナミックコンサルタントはコンサルティングメニューを1つか2つしか持っていません。しかし、そのコンサルティングは非常に尖った独自性やノウハウが詰め込まれています。ダイナミックコンサルタントの場合、クライアントの要求とのマッチングが課題ではありますが、マッチしたときの成果はクライアントにとって、コンサルティングに投資した額の何倍にもなります。しかも長期的な成果が何年にもわたって続きますので、そのリターンは計り知れないほどの額になります。

 総合メーカーと専業メーカー、総合コンサルティングファームとダイナミックコンサルタント。どちらがいいかは使い手の選択ですが、独自性や特長を使いこなすことができれば満足感はどちらが高いか、もうお分かりだと思います。

 あなたはダイナミックコンサルタントを使いこなすことができますか?

 

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