第55話 感動を共有できるショールーム営業

 住宅を買うというのは、その人の人生で1回あるか無いかだと思います。中には2回目3回目という方はいますが、そういう方はちょっと特殊な事情があったり好き好んでということではないでしょう。住宅を買う場合、住宅に精通した方、例えば住宅会社の社員とか実際に住宅を造っている職人さんであれば、どのメーカーのどういった家がいいという情報は豊富に持っているはずですが、一般の人からすれば何を基準にして住宅を買うのかさえもよく分からないと思います。数千万円の買い物をするのに、カタログやテレビコマーシャルだけで決める人はいないでしょう。そこで住宅展示場に行って、実物を見て比較しながら、あれやこれや悩みながら決めるというのが一般的なはずです。

 メーカー側からすれば、そんな方たちには先ず、自社の住宅の説明をする機会を作らなければなりません。人には、最初に見たものがその後の判断に影響を及ぼすという心理効果がありますから、新規客にはなるべく早くアプローチする必要があります。住宅展示場を見て回っている人たちに声をかけ、モデルハウスに入って見てもらい、説明を聞いてもらう必要があります。

 消費者側からすれば、広い住宅展示場に多くのメーカーのモデルハウスが立ち並び、呼び込み(?)の方が声をかけてくるわけですから、ある程度知識をつけてメーカーを絞って行かないと、とんでもなく多くの時間が必要になります。メーカーのセールスが平易な言葉で分かりやすく説明したとしても、建築や設備の専門用語は多少は使われますので、言っていることがちんぷんかんぷんでは、説明を聞くレベルに達していないということになりかねません。

 現在の大手ハウスメーカーの戸建て住宅であれば、よほどの地震でない限り完全に倒壊するという心配はまずありません。地震に強いという要素は、いわば当たり前のことなのです。そのうえで、地震で被害を受けたとしても、復旧せずともそのまま今まで通りその住宅に住めるか、もしくは、いかに短い時間で復旧できるか、という要素が差別化の一つとなります。住宅も商品ですから、お金をたくさん掛ければそれなりの豪華な住宅が建つでしょう。しかしいくら豪華であっても、近ごろ多発する自然災害に弱い住宅であれば消費者の選択肢には入ってきません。他にも、防犯、快適性、省エネなど、検討すべき要素はたくさんあるでしょうが、特に太平洋側の南海トラフ地震が懸念されている現状では、顧客の興味や関心は「耐震性+復旧の速さ」ということになるでしょう。

 しかし、「耐震性+復旧の速さ」が自慢の住宅であっても、その特徴を展示場巡りをしている客に対し表現するためには、モデルハウスに入ってもらい説明を聞いてもらう必要性があります。文字情報だけでは感動を伝えにくいからです。一生に一度あるかないかの買い物には、顧客はもちろん売る側のセールスにも感動が必要です。顧客とセールスが感動を共有するからこそお互い満足した売買ができるのであって、どちらかがそっけない態度であれば売買は成立しません。やはり、見て、聞いて、触れて、五感で体感できる展示場の役割は非常に大きいです。

 それではどうしたら、自社のモデルハウスに入って説明を聞いてもらえるでしょう?やはり、呼び込みの熱心さです。しつこくならない程度に熱心に勧誘します。よほど特定の目的がある顧客でなければ「ちょっと入って見ようか」と思うのは人間の心情です。

 「そんなのわかっているよ」と言いたげな方もいらっしゃるでしょうが、多くの住宅メーカーが集まる展示場でも、そのように熱心に勧誘するメーカーはごく少数です。中には質問をしても「さあ、わかりません。詳しくないんです」というメーカーもあります。分かっちゃいるけど、できていないのが現実です。

 ショールーム営業も同じです(住宅展示場はショールームですから当然です)。顧客にショールームに来てもらうことがまず必要になります。来てさえもらえれば、優秀なアドバイザーが説明をし感動を共有します。これにより契約率が向上します。

 いいモノを作ってもなかなか売れない時代。何が欲しいのかよくわからない消費者が多い中で、自社製品の特長を最も正確に発信できるのはショールームです。そこへ来てもらう手段はいろいろあるのですが、やはりセールスの熱心さにかなうものはありません。感動が伴うからです。

 ショールームが活用できていない会社の経営者の方、ショールーム営業という営業戦略があります。感動を共有できる営業方法です。ご検討ください。