第52話 親子喧嘩の果て

 「あれっ!なんでこんなところに家電が置いてあるんだろう?」

 ある家具メーカーのショールームに行った時の率直な感想です。そこでは、1階のフロアに家電商品がずらりと並べてあります。大手家電量販店並みです。そしてすぐに合点がいきました。「そういえば、この家具メーカーは大手家電販売店の傘下に入ったんだと」

 親子による、経営に対する考え方の違いや販売手法の違いにより、社内でごたごたが起き、また、他メーカーの台頭があって業績不振に陥り、結局は家電販売店の傘下に入らざるを得ないという結果になりました。経営者当人はもとより、ステークホルダーもずいぶん心配したはずです。しかし、大手家電量販店の傘下に入ってでも復活することが大きな目標であり、それができれば何よりだと思います。

 ところで、そのショールームですが、イマイチ活気がありません。たぶんコロナの影響でしょう、来店客が閑散としています。接客は丁寧で感じが良かったのですが、やはり根本的な経営方針や販売方法に問題があるのではないか、と感じました。もちろん、経営者である当事者が考えに考え抜いて今の経営方針、販売方法を行っているのですから、当社があれこれ発言するものではないと十分承知をしています。しかし、消費者の視点でよく見てみると冒頭のように「なんで家具と家電が一緒なのか?」という疑問に行き当たります。

 家具と家電は、実は、相性がいいと考えています。どちらも普段の生活に欠かせない製品であるし、一緒に使うことも多いです。したがって、家具の展示の中に家電が入り込んでいてもそれほど不思議ではないと思いがちです。ところが、中~高級品をそろえる家具のショールームに、(白物)家電はどう考えても似つかわしくないのです。ゆっくり、じっくり家具を品定めする顧客に対し、家電のガチャガチャ感はイメージできないと言ったらいいでしょうか。事実、1階の広い家電フロアには顧客はほとんどおらず、売れている雰囲気もありません。階上の家具フロアには少ないながらもぼちぼち顧客が商談中でした。

 家電量販店の傘下に入ったとしても、製品の相性がいいとしても、イメージが違いすぎます。なにも一緒に売らなくても・・・というのが感想です。そうせざるを得ないという事情があったのかもしれません。しかしそれは、顧客には関係のないことです。

 中小企業の場合、大企業メーカーのように大きなショールームを造ることは非現実的です。狭いスペースを有効に使って、いかに自社の特徴を、あるいは強みをPRするかが重要になってきます。その狭い限られたスペースに、あれもこれも、しかも、ジャンルやカテゴリーが異なる製品を展示したら顧客は何を感じるか、ということです。

 「そんなことわかっているよ!」と言いつつも、案外、多くの中小企業経営者が間違えるポイントです。なぜそうなるのか?人間の心理がそうさせています。知らず知らずのうちに間違った方向へ引きずられるのです。しかも、なかなか気が付きませんし修正もできません。

 折角大金を投入して造ったショールームです。何とか活かす方法を考えなければ宝の持ち腐れです。そのショールームを活かすも殺すも経営者次第。どうせなら活かして売上・利益につなげたいですよね。その時よく考えてください。自社の都合で展示をするのではなく、顧客の視点で考えることが大切です。

 あなたの会社のショールームは、顧客の視点で展示ができていますか?