第51話 2代目はつらいよ
少し古い話で恐縮ですが、考えさせられる出来事がありましたのでご紹介します。
それは今から数年ほど前のことです。企業訪問の合間に観光地へ寄っていて、ちょうど昼食時になったためレストランに入りました。団体客が何組か来ていて、その中に30名ほどの中小企業の社員とその家族といった団体とテーブルが隣り合わせになりました。
多分家族同伴の社員旅行なのでしょう、皆さん楽しそうに食事をし、ワイワイガヤガヤしていた時のことです。突然大きな声で「本部長!次はどうするんだ?」という声が響き渡りました。何だろうと驚きながらもよく観察してみると、どうやらその声の主は創業社長らしき人の声。声を発した先は、本部長である2代目の息子に対しての言葉だというのが分かりました。
その社長は苦労人のような風貌で、隣に座る奥さんと一緒に会社を切り盛りしてきたことが良く分かりました。一方、息子の本部長は奥さんと子供を連れてきていて、いかにも良きパパといった感じ。創業社長のような厳しさはありません。社長は食事の後の指示を待っていたにもかかわらず、息子の本部長が指示を出さないので声が大きくなったのだと思います。
創業者は自分で資本を用意し、何もないところから製品を開発、そして自分で新規顧客を開拓し、無我夢中で事業を大きくします。会社は自分の子供と一緒でとても大切なものです。その大切な会社を自分の息子に譲るというのは楽しみでもあり不安でもあるはずです。一方、譲られる息子はというと、父親の苦労を目の当たりにしておらず、甘えて育ったためにひ弱で、大体会社を継ぐつもりもなかった、というケースが結構多いのです。
冒頭の会社の場合も上記のように、後継者育成に悩んでいるものと思われます。後継者である2代目の息子にもっとしっかりしてほしいと創業社長は思っているはずです。しかし当の本人は、良きパパでありたい、リーダーとしてイメージがわかない、といったところだと思います。価値観の違いというか、生き方の違いというか、実際の事業承継のむつかしさを少しだけ垣間見た感じがしました。
こういった場合、何も手を打たなければ、創業社長の引退と共に会社は弱くなってしまいます。良きパパが良き社長になれるとは限りません。たぶんうまくいかないことのほうが多いでしょう。これでは創業社長はいつまでたっても息子に譲ることができません。それではどうしたら解決できるのでしょうか。自社だけでは解決が難しいと思われるため、コンサルタントの活用をお勧めしています。
それではこんな時、どのようなコンサルタントが必要でしょう?事業承継のコンサルタントでしょうか。それとももっとほかのコンサルタントが必要でしょうか。
実は、中小企業向けのコーポレートガバナンス導入という方法があります。これまで社長1人に頼ってきた会社を、社員全員が自立し責任ある行動がとれるようにするための、当社が開発したコンサルティングです。もちろん事業承継を専門としたコンサルタントという選択肢もあって当然と思いますが、複雑で長期にわたるコンサルティングになりがちです。その点当社のコンサルティングは、取り組みやすく半年ほどでしくみを導入できるメリットがあります。
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