第44話 集客の大切さ

「先生、うちの会社の社員は、展示会に出展しても展示の方法ばかりに気を取られていて、肝心の集客に力を入れないんですよ。やっぱり集客が大切ですよね」そう言って質問してきたのは、当社のセミナーにお越しになり、講義を真剣な表情でお聞きになっていた製造業の方です。

 まず、「ショールーム営業は展示会に有効か」という疑問があると思います。結論から言えば「かなり有効」と言えます。ショールームと言えば、水回り商品や自動車、インテリア、家具など、耐久消費財を展示する場所というイメージがあります。また、機械やその部品、塗料、配管や配線などといった産業材を展示する場所でもあります。他には、デパートやホテルで一時的に借りて展示即売する、いわゆる催事を行う場所もショールームと言えます。まだ他にもあります。料理教室やイベントで試食・試飲、試着する場所もショールームです。屋内とか屋外とかは関係ありません。要は、見て、聞いて、触れて、試して、良さを体感したり商談する場所を大きくとらえてショールームというのです。ショールームのルームは余地という意味があります。見る余地=見るための場所です。そういう意味では「展示会」は「ショールーム」であり、かなり有効どころかショールーム営業そのものと言えます。

 それではなぜ展示会で集客に力を入れないのでしょうか?それはたぶん、展示会に出展することが目的になっているからです。出展のために「どの製品を出品するのか」「展示品をどう展示するのか」の議論になってしまい、そのこと自体に満足してしまうからです。しかし、集客に力を入れなければ情報の収集も発信もできず、結局「もったいないショールーム」と同様、小間代を支払って出店しても全く意味のない展示会となってしまいます。

 ショールームを造っても、展示会に出展しても、顧客がわんさか詰めかけるなんてことはありません。自社の営業力を使って、また、集客のしくみを使って集客するからこそショールームや展示会がにぎわうのです。そしてそれが新規顧客開拓、売上・利益につながるのです。

 ショールーム営業コンサルティングは単に、ショールームに製品をどのように展示するのか、といったことを指導するものではありません。もちろんそういったことをクライアントと一緒に考えていくことはありますが、本質的には「ショールームを活用してどのように自社全体の営業力を強化していくのか」ということが重要なテーマになります。ショールームという舞台において「営業のしくみづくり」「営業マンはじめ全社員の成長」が重要なキーワードなのです。

 もちろん、大きな企業になればその辺の教育システムや改善の仕方はしくみとして整備されているのでしょうが、大企業には大企業なりの問題点 ~組織間の牽制や対立~ があり、全体最適にはなっているものの、部分的には問題が山積みといった事例もよく見かけます。また、いつも難しいことを考えて仕事をしているため、「なんでこんな簡単なことが分からないんだろう?」という場面にも出くわします。それは、物事を難しく考える癖がついていて、簡単なことでも難しく考えてしまうからなのです。特に大企業や技術力の高い製造業にこの傾向は強いです。

 ショールーム営業はそれほど難しいコンサルティングではありません。しかし、どんな場合でもそうですが、コンサルティングを受けるときは、頭の中を白紙状態にして素直な心で取り組むことが必要です。それでなければ成果が出ないうえに、かえって混乱を招いてしまいます。前出の製造業の会社の場合、単純に考えれば、「展示会に出展する→集客する→情報の集散をおこなう→製品・商品開発に役立てる→新規顧客開拓に役立てる」ということになります。

 この中で元も大切なことが集客であり、そのために何をするかです。その、何をするかというプロセスの中で営業力は鍛えられていきます。展示会に出展しただけでは営業力は強くなりません。ここを間違わないようにしていただきたいものです。