第42話 コロナ後のショールームの可能性

「コロナ後のショールームの可能性について、細井さんはどう考えていますか?」

 こう質問されたのは、当社のセミナーにお越しになり、質疑応答の時間に真剣な表情でお聞きになった受講者の方です。少し話を伺ってみると、自社でショールームを持ってはいるものの活用できておらず、物置状態になっていて何とかしたいと思っている方でした。そうは思っていてもこのコロナの影響で、今後、集客できるか不安だというのです。聞いてみればもっともな話です。

 コロナ後の世の中がどうなっているか、今とは違う世の中になっていくでしょうが、何がどうなると断言はできません。しかし、リモートワークとかオンラインという言葉が日常普通になりつつある今、働き方や人との接し方が大きく変わっていくと予想されます。

 会社では在宅勤務が当たり前になり、出社するのは月に1度きり。上司や部下や同僚たちとコミュニケーションをとるのは、電話、メール、ZOOM。社員旅行なし、飲み会なし、湯沸かし室での井戸端会議なし。そんな世の中になるかもしれません。そうなったら会社のオフィスは今より小さくてもいいですし、もしかしたらオフィスが存在しなくなるかもしれません。社長も部長も社員も、全員在宅勤務。そんな会社が出てくるかもしれません。

 世の中のしくみや制度が変わるということは、古いビジネスが廃れ、新しいビジネスが生まれるチャンスだということです。現に、日本の企業業績全体が落ち込んでいる中、ドラッグストアや通信機器メーカーの中には業績を伸ばしている会社があります。それが続くかは別として、そのチャンスをどうとらえるかが我々の課題になってきます。

 ところで、日本国内においてインフルエンザで亡くなる人の数をご存じですか?このところ年間、2000~3000人で推移しています。多い年と少ない年があって差が大きいのですが、年間で3000人もの人が亡くなっているのです。治療方法も治療薬も確立されているにもかかわらず、です。コロナの場合は、まだそういったことが確立されていないため安心できない面はありますが、確立されたならばインフルエンザと同様、うまく(?)付き合っていくことになるのだと思います。

 最初の質問に戻って、コロナ後のショールームの可能性についてどう考えるか、ということです。ここで、買い手の立場と売り手の立場から考えてみたいと思います。

 まず、買い手の立場から考えてみますと、欲しいものをネットで探して買うという、合理的な買い物の仕方は増えるでしょう。品質が安定していて、その製品のことをよく知っている場合や、買い物に失敗してもそれほど痛手を被らない場合などは、便利さを優先してオンラインショッピング、ということになります。しかし、本当に自分にとって大切なもの、必要なものは、やはり、臨場感が伴った場所で確認し購買するはずです。例えば婚約指輪とか好きなアーティストのコンサートとか。他にも、B2Bの場合、失敗したときの影響が大きいため、新しい商材を購買するときは必ず現物を確かめるでしょう。

 次に、売り手の立場で考えてみます。売り手の場合、情報の収集、分析、発信ということが非常に重要になってきます。情報を収集して製品開発や品揃えに生かす。そしてそれを発信して、売り上げにつなげるということです。この場合、情報の集散機能という面においてはショールームの活用が最適・最強です。何しろ、見る、聞く、触れるなどすべてがリアルだからです。そういった意味ではショールームは、製品開発から商品化までのキーデバイスと言えます。

 日本人のお祭り好き、イベント好きは今後も変わりません。人が集まって会話をするうちに、何かビジネスのヒントを見つけるということはよくある話です。世の中が変化して新しいビジネスが生まれつつある現在、ショールームの役割はますます増していくでしょう。ショールームで、人々の役に立つ新商品を提案し、世の中に送り出していくことが求められています。そんな中でコロナ対策として大切なことは、安心・安全の確保と、それを顧客に知ってもらうことだと考えています。